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この夏、愛知県内で開催されていた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」(あいトリ)で、 従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」や昭和天皇の肖像を扱った作品などが出展された企画「表現の不自由展・その後」が物議をかもした問題。

不適切だと批判を続けてきた名古屋市の河村たかし市長が12月10日、日本外国特派員協会(FCCJ)で会見、「昭和天皇の肖像を燃やす作品は日本国民全体へのハラスメントだ」と厳しく批判した。

河村市長は、事前に当該作品の展示が知らされていなかったとして、独自に名古屋市で検証委員会を立ち上げ、負担金3300万円の支出を見直す姿勢を示した。

●「事前に大浦作品の展示を知らされていなかった」と主張

河村市長は会見で、「表現の不自由展」に出展されていた、現代美術家の大浦信行さんの映像作品「遠近を抱えてpart2」について、「(昭和)天皇陛下の肖像を燃やして、踏みつけることは、日本国民全体へのハラスメントです」と問題視した。

また、その展示の過程についても、名古屋市に提出された資料を示しながら、事前に当該作品の記述がなかったことを説明。「表現の自由以前の問題、嘘をついていいのですか、という問題です」と疑念をあらわにした。

この日、報道陣に提示された資料によると、展示予定作品一覧に大浦さんの作品はあったものの、映像作品ではなく、別のコラージュ作品だった。

河村市長は、「あいトリは公共事業であり、民主主義的なステップを経て慎重に行わなければならない。憲法15条2項に、公務員は全体の奉仕者という言葉があります。だから慎重にやって、一定の審査をする義務がある。民間の画廊でやっているのとは違います」と話した。

名古屋市はすでにあいトリに1億4000万円を支出しているが、残りの3300万円について現在、予算執行を停止している。

●津田大介さん「会見、事実と異なるところがある」

会見を聞いていたあいトリの芸術監督、津田大介さんは、報道陣に対し、次のようにコメントした。

「河村市長の会見には事実と異なるところがあります。大浦さんの映像作品を隠す意図はなかった。現場のコミュニケーションに齟齬があったことが原因だと思います。名古屋市の検証委員会でも呼んでいただければ、お話ししたい」