JR東海、JR西日本、JR九州は7日、東海道・山陽新幹線第2総合指令所から列車制御を行う様子を報道関係者らに公開した。同日の始発列車から最終列車まで、大阪地区に設置された第2総合指令所にて列車制御が行われる。



東海道・山陽新幹線は通常、東京の新幹線総合指令所で東京〜博多間の運行を集中管理している。九州新幹線を統括する指令員も配置し、運行を監視する表示盤も設置したため、東海道・山陽・九州新幹線の全列車の運行状況を一元的に把握できるという。

第2総合指令所は地震等の大規模災害をはじめ、正常運行が困難となる万一の場合に備え、機能の二重系化を目的に設置された。列車集中制御装置(CTC)、新幹線運転管理システム(COMTRAC)、変電所集中制御装置(CSC)など、東京の総合指令所と同等の指令設備を有し、各装置類は常時電源の入った待機状態に。被災等で東京の総合指令所の機能が損われた場合、ただちに第2総合指令所へ機能を切り替えられるようにした。平常時は指令員や保守要員の教育訓練、設備改良時の確認試験などにも活用される。

大阪地区に設置された第2総合指令所からの列車制御は今回で20回目となる。12月6日の最終列車まで東京の総合指令所で列車制御を行った後、0時40分頃から大阪の第2総合指令所への切替えを開始した。12月7日は始発列車から第2総合指令所で列車制御を行っている。この日運行される東海道・山陽新幹線の営業列車は計505本となる予定。第2総合指令所での列車制御に携わる指令員は計160名(内訳はJR東海89名、JR西日本67名、JR九州4名)との説明もあった。













報道公開ではJR東海、JR西日本、JR九州の各社指令長が取材に応じた。「新幹線は安全・安定輸送を保つため、列車の運行を全線にわたって指令所で集中して管理を行います。本日は新幹線の中枢部分をお見せできる貴重な機会となります」とJR東海新幹線鉄道事業本部の輸送指令長、島田秀行氏は話す。第2総合指令所での列車制御に関して、「東京の総合指令所が被災した場合に備え、こちらで実際に列車を動かし、制御できるかの確認を毎年1回実施しています。東海道・山陽新幹線の線路はつながっていますし、利用の非常に多い輸送機関で、使命感の重さを感じます」とのこと。

東海道・山陽新幹線はこの日の午前中、品川駅でホーム上の安全確認が行われたほか、相生〜岡山間で車両・線路確認による列車遅延が発生。報道公開の途中、各社の指令員が集まる場面も見られた。山陽新幹線相生〜岡山間で発生した事象について、JR西日本新幹線鉄道事業本部の総括指令長、吉松一也氏は、「『のぞみ3号』の運転士から『通常と異なる音がする』と報告があり、列車を一旦停止しました。これを受けて、指令のほうでは車両点検の手配と、周りの列車に状況を確認するように指示を出しました」「『のぞみ3号』の車掌が車両を確認した結果、鳥と思われるものが衝撃した痕跡があったと報告がありました。運転等に支障はなく、安全であるとのことで運転を再開しています」と説明した。







列車遅延はすでに回復し、12月7日午後の時点で東海道・山陽新幹線ともにおおむね平常通りの運転に。大阪の第2総合指令所での列車制御は、最終列車の運転が終了する24時まで行われる。その後、0時40分から切替え(戻し)を開始し、12月8日の始発列車から東京の新幹線総合指令所での列車制御に戻る予定となっている。