滑落するも生還した体験談に注目集まる 富士山では遺体発見、不明のニコ生配信者か
富士山でニコニコ生放送配信中の男性が足を滑らせて行方不明になっていた件で、男性の可能性もある遺体が、山頂付近から標高差約800メートル下で見つかった。
警察が身元の確認を進めている。
7合目付近で性別不明の遺体
白くさらに雪化粧した富士山が、青空の中にくっきりと浮かんで見える。男性が行方不明になって2日経った2019年10月30日朝、ツイッター上では、こんな美しい写真が次々に投稿された。
その一方で、男性が未だに見つかっていないことに対し、安否はどうなっているのかと心配の声が寄せられた。各メディアの報道によると、富士山の7合目付近にかけての静岡県側の斜面に滑落したような跡が見つかったことから、県警の山岳遭難救助隊がこの日7時30分から男性の捜索を再開した。
そして、13時40分ごろになって、標高約3000メートルの7合目付近で、男性の可能性もある性別不明の遺体を見つけた。7合目の山小屋「大陽館」から南に約800メートル離れたところで、ここから山頂までは平均的な人が歩けば4時間はかかる距離だった。
遺体は、ほとんど雪に埋まった状態で、衣服が破れ、損傷が激しかったという。リュックサックが近くに落ちていたが、身元を確認できるものは見つかっていないとも報じられている。
男性の可能性がある遺体発見が報じられると、まだ身元は確認されていないものの、ツイッターやネット掲示板などでは、「本当にそこまで滑っちゃうのか・・・」「こんな結果になってしまったのは残念」とため息が漏れた。一方で、「下調べもせず あまりにも無謀だった」「そうまでして生配信の視聴稼ぎたかったのか?」「この件を教訓に登山の厳しさが改めて認識されると良い」との意見も書き込まれている。
南アルプスで滑落の4日後に救助
冬山登山の富士山は、強風も吹いて特に危険だとされており、装備を固めた山のベテランらでも、度々滑落事故が起きている。
朝日新聞の2016年11月23日付朝刊記事によると、山岳会所属の男性と大学山岳部員の2人が、山頂に近い9合目付近で滑落し、標高差約900メートル下で遺体となって発見された。このことについて、当時の警察は、「斜面は雪が堅く凍結したアイスバーン状態で、スケートリンクのような感じ。一度スリップしたら止めるのは不可能だ」と取材に話していたという。
ただ、富士山ではないが、滑落して助かるケースも過去に報じられている。
静岡新聞の1992年5月7日付朝刊記事によると、南アルプス・聖岳の北斜面で滑落した会社員男性は、4日後に奥赤石沢で動けなくなっているところを救助されたが、そこは、滑落場所の稜線から1キロほども下にあるところだった。
男性が左足を骨折しても助かったのは、運だけではなかったらしい。この男性とみられる人は、山専用サイト「ヤマレコ」で、20年以上経ってその体験を語っており、今回をきっかけに再びネット上で注目を集めている。
それによると、猛スピードで落ちながらも、身に着けたピッケルを雪に刺して滑落をストップさせるのに成功した。その後も、ザックに入れたシュラフや食糧を頼りにビバーグして夜を明かしていたという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)