東京五輪ロゴで“パクリデザイナー”と呼ばれた佐野研二郎氏、いまだ仕事が続くワケ
開催まで1年を切った東京五輪。日に日に期待が高まるが、競技外で話題となったのが、オリンピックおよびパラリンピックの公式エンブレムにかけられた盗作疑惑だった。
「'15年に国内外で広告デザインの分野で活躍していたデザイナーの佐野研二郎さんの作品が選ばれました。しかしその後、ベルギーの劇場のロゴと非常に酷似していることが、ロゴをデザインした本人より指摘が入り、結果的に佐野氏の案はボツとなりました」(スポーツ紙記者)
この一件により、彼のこれまでの作品についても複数の“パクリ疑惑”が浮上し、事態はさらに炎上することとなった。一躍、“負”の意味で話題の人となった佐野氏の現在は……。
「彼の仕事は基本的に途切れることなく現在に至ってますね。教授として授業を持っていた母校である多摩美術大学は1年間“休学”しましたが」(広告代理店関係者)
あれだけ“パクリデザイナー”のレッテルを貼られたにもかかわらず仕事が続くとは。
「彼は“大衆にウケるデザイン”が得意で、業界的にはずっと評価が高かった。また、デザインの世界では“似てしまう”ことは少なからずあるものです。ただ、“依頼して同じように騒動になったら困る”と考えたクライアントは少なからずいるでしょうね」(同・広告代理店関係者)
'17年には『新しい地図』のロゴをデザイン。またさらに今年は、3月から6月まで開催された香取慎吾の国内初となる個展のロゴ、サントリーの清涼飲料水『DAKARA』のCM、8月公開の映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』のポスターや新聞広告など、すべての宣伝まわりを担当しており、大手企業相手の仕事が続いている。依頼することに懸念はなかったのか。DAKARAを販売するサントリー食品の広報部に起用した理由について話を聞くと、
「盗作疑惑などについては、コメントを差し控えさせていただきます。CMはあくまで佐野氏個人のクリエイティブ能力を評価しての起用をさせていただいております」
『ドラゴンクエスト』は、担当者不在のため回答は得られなかった。
'64年の東京オリンピックのエンブレムをデザインしたのは亀倉雄策氏。デザインの発展を目指して設けられた亀倉雄策賞を、佐野氏は'14年に受賞。そのとき、彼は次の言葉を残している。
《いいたいことはたくさんあるが、それはデザインで還す》
疑惑が晴れるには年月を要する。彼はいまデザインで還(かえ)している途中ということ!?