高速道路のICなどから渋滞している本線へ合流する際、加速車線の先端まで走らずに合流するクルマが見られます。加速車線の先端まで走ることをためらう傾向があるようですが、この行為、悪影響も及ぼしています。

加速車線のあちこちで合流、危険も

 高速道路のICやSAなどから、渋滞している本線へ合流するのタイミングについて、NEXCO東日本関東支社は「加速車線の先頭まで走って合流してほしい」といいます。


本線だけでなく加速車線も渋滞するケースも。写真はイメージ(佐藤 勝撮影)。

 というのも、渋滞している本線に対し、加速車線は比較的空いているにもかかわらず、その先頭部まで走らずに手前で合流する、というケースがしばしば見られるからです。同支社によると、加速車線のあちこちで合流しようとするクルマが増えると、そのぶん本線を走る複数の車両にブレーキを踏ませるなどして、事故の危険が高まるばかりか渋滞を悪化させる可能性があるそうです。

「加速車線の先頭で合流」が実践されないことについて、名古屋高速を管理する名古屋高速道路公社は、「うまく合流できないことが怖い、早めに合流しておきたい、という心理からではないでしょうか」と話します。また、東京都世田谷区の自動車教習所、フジドライビングスクールの田中さんは、「前のほうから割り込むのは申し訳ない」という心理も働くと指摘します。つまり、混雑する本線を横目に加速車線を走っていくことが、マナーに反する行為だと考える人もいるというのです。

 名古屋高速道路公社では、お盆や年末年始といった多客期にSNSなどを通じて、加速車線の先頭で本線へ合流する「ジッパー法」を心掛けるようドライバーへ呼びかけています。本線を走る車両に対し、1台1台交互に合流していくさまを、ジッパーが閉じていくことに見立てた名称です。そうすることで、合流する側も本線側もスムーズな流れをキープできるといいます。

【図】加速車線の「手前で合流」「先頭で合流」こう違う


渋滞していない場合でも、加速車線の手前で合流(左)すると加速が十分でないため、本線を走るクルマにブレーキを踏ませてしまうことがある(画像:名古屋高速道路公社)。