安定の人気銘柄である。Jリーグにおける外国人GKだ。

 開幕から2節を終えたJ1リーグでは、5人の韓国人GKがポジションをつかんでいる。
 
 川崎フロンターレのチョン・ソンリョン、鹿島アントラーズのクォン・スンテ、北海道コンサドーレ札幌のク・ソンユン、セレッソ大阪のキム・ジンヒョン、ヴィッセル神戸のキム・スンギュだ。

 在籍年数はいずれも長い。キム・ジンヒョンは11年目、ク・ソンユンは現所属の札幌だけで5年目である。チョン・ソンリョンとキム・スンギュは4年目で、クォン・スンテは3年目だ。

 韓国人だけではない。ジュビロ磐田の最後尾には、在籍5シーズン目のカミンスキーがいる。連勝発進の名古屋グランパスは、ランゲラックが正GKだ。オーストラリア代表クラスの30歳は、在籍2シーズン目である。

 J2にも外国人GKが増えている。こちらはスペイン人GKが人気で、FC岐阜は17年からビクトルにゴールマウスを託している。今シーズンからイタリア人のファビオ・ペッキア監督が率いるアビスパ福岡も、スペイン人守護神のセランテスを迎えた。

 J3から昇格したFC琉球では、コスタリカ代表歴を持つダニー・カルバハルが背番号1を着けている。18年は徳島ヴォルティスと水戸ホーリーホックでプレーし、今シーズンはJ2へ舞台を移したチームを支える。

 韓国人GKもいる。栃木SCに新加入したユ・ヒョンは、代表歴を持つ34歳のベテランだ。一方、琉球とともにステージを上げた鹿児島は、21歳のアン・ジュンスを最後の砦としている。16年にセレッソ大阪へ加入した彼は、18年から鹿児島へ期限付き移籍中だ。

 19年シーズンからJ1は5人まで、J2は4人まで、外国人選手を同時に起用できる。センターラインの一角を担うGKのプレー次第で、敗戦を覚悟するべき内容の試合で勝点1をつかんだり、ドローが濃厚の試合を勝点3に転換したりできる。外国人枠のひとつをGKに充てるのは、チームの強化方針として分かりやすい。

 気になるのは日本人GKの出場機会である。

 J1の18チームで外国人GKを起用しているのは、合計で7クラブである。国内トップカテゴリーで常時プレーする日本人GKは、少なくとも昨シーズンから11人に限られている。

 J1各クラブのGKを見ると、お馴染みの選手が並ぶ。フィールドプレーヤーに比べれば選手寿命が長く、経験が生かされるポジションの特性はあるのだろう。一方で、新陳代謝が鈍いとの印象もある。
 
 日本人GKの年齢はどうか。開幕2節までに出場している11人の内訳は、30歳以上が6人で、20代は27歳と28歳、それに29歳がふたりである。10代はサンフレッチェ広島の大迫敬介だけだ。

 25歳前後の中堅層が、すっぽりと抜け落ちている。25歳前後といえば、リオ五輪世代にあたる。

 五輪でプレーした中村航輔は、昨夏のロシアW杯でメンバー入りした。ただ、所属する柏レイソルは今シーズンからJ2で戦っている。中村とともに五輪に出場した櫛引政敏も、J2のモンテディオ山形の一員だ。スタメンは確保しているものの、戦いの舞台はJ1ではない。

 14年1月から16年夏のリオ五輪までの道のりでは、彼ら以外にも7人のGKが手倉森誠監督(当時)に招集された。7人の現在地はどうか。所属クラブでポジションをつかんでいるのは、レノファ山口の山田元気だけである。

 森保一監督が統べる日本代表は、3月下旬にテストマッチを控える。来週にもメンバーが発表されるはずだが、果たして誰が選ばれるのか、誰がスタメンに指名されるのかが、いまひとつはっきりしない。競争のレベルが上がっている印象は薄く、中堅層からの底上げの弱さが、その一因となっているのは間違いない。