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全国の地方公務員労組でつくる自治労(全日本自治団体労働組合)の新潟県本部に勤務する男性(53)が11月30日、新潟勤務が前提で雇用されたのに東京への勤務を命令されたのは不当配転だとして、自治労を相手に労働審判を申し立てた。

申し立て後、厚労省記者クラブで会見を開いた男性は「職員とその家族の人生を変えてしまうのを、無理やり強いるのはやめてほしい。そういう労働団体で働くのは残念だ」と訴えた。

●男性側「新潟での勤務が当然の前提だった」

代理人の戸舘圭之弁護士によると、男性は2005年、自治労の新潟県本部で勤務するという労働契約で採用され、5回の更新をへて、2013年4月に正規雇用された。「組織拡大オルグ」で、労働組合員の獲得や組織拡大を目的とする活動をしていた。

2016年に入り、地方圏本部に配置する「組織拡大オルグ」制度の廃止方針にあたり、東京での勤務を打診された。男性は「新潟限定ということで入ったので、難しい」と一貫して反対していたが2018年4月、東京への配転が命じられた。

労働条件通知書では勤務場所は「自治労本部」と記載があったが、男性側は「当初から新潟県本部における勤務が当然の前提とされていた」と主張している。労働条件の通知後に出された辞令には「組織拡大オルグ(新潟県本部勤務)を命じる」と書かれていたという。

男性は7月から、腰痛のため病気休暇を取得している。戸館弁護士は「自治労は本人の意向を無視して、配転命令を強行した。労働者の権利擁護に取り組んでいるにも関わらず、内部の職員に対して、極めて残念だと感じている」と話した。

●自治労「就業場所、明記している」

自治労は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、次のようにコメントした。

「申立の詳細を見ないとはっきりとは言えませんが、組織拡大オルグ体制の見直しは、ご本人も含めた組織内議論と合意に基づいて実施しており、今回の配置転換は制度変更に伴うものです。

また、就業場所は自治労本部であることを労働契約の中で明記しており、主張されているような勤務地限定でないことはご本人も了解の上で確認しております。

この間ご本人に対して誠意をもって対処してきましたが、このような事態になり残念でなりません。引き続き理解いただくよう努力してまいります」

(弁護士ドットコムニュース)