普通紙に出力した「グラフェン量子ドットインクジェットインク」(紫外線照射下)

冨士色素株式会社グループのGSアライアンス株式会社は、自社で製造販売しているグラフェン量子をインクジェットインク化し、量子ドットインクジェットインクを開発し、商業化したことを発表した。家庭やオフィス向けの汎用プリンタでも出力できることが特徴。紙やフィルムなどのさまざまな媒体にインクジェット印刷できることが確認されている。

量子ドット(Quantum Dot)は、量子化学、量子力学に従う独特な光学特性を持つナノスケールの半導体結晶。通常は2〜10nmの直径で、10〜50個ほどの原子で構成される。ナノ結晶のサイズによってバンドギャップの調節が可能で、粒径に依存した特徴的な発光特性を保有。つまり、サイズを変化させることで発光波長の調整が可能で、太陽電池やディスプレイをはじめ、さまざまな用途での応用が期待されている。

グループ会社である冨士色素株式会社には、顔料系のインクジェットインクの研究開発や製造の長年のノウハウがあり、新会社であるGSアライアンス株式会社の量子ドットとインクジェットインクの技術を生かして今回の開発が実現した。インクジェット方式により広い用途での展開の可能性があるが、「グラフェン量子ドットの半値幅が広いので、半値幅の狭さが要求されるディスプレイ用途向けなどにはまだ改良が必要」とされている。

今回開発された「グラフェン量子ドットインクジェットインク」は、室内灯下では無色で、紫外線などの励起波長に依存して異なる発光ピークを持つ発光スペクトルを出すもの。そのため、同社の発表では、高度な偽造防止インクとして使用できる可能性も挙げられている。

GSアライアンス株式会社
URL:https://www.gsalliance.co.jp/
2018/07/09