1日、東京都内のホテルで行われた発表会で単3形充電式ニッケル水素電池「eneloop(エネループ)」を紹介する野中ともよ三洋電機会長。(撮影:吉川忠行)

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経営再建中の三洋電機<6764>は1日、乾電池のように買ってすぐ使える単3形充電式ニッケル水素電池「eneloop(エネループ)」を11月14日から発売すると発表した。単4形は2006年1月21日から。ニッケル水素電池を電源に使うことの多いデジタルカメラでは、乾電池よりも4.4倍の撮影枚数を可能とする高出力と長寿命が特長。健康と環境を重視するライフスタイルを営む「LOHAS(ロハス)層」や主婦、子どもなどの層からの購入を見込む。

 「eneloop(エネループ)」は、負極の材料に使う「超伝導合金」の高性能化など技術革新で、充電池の弱点だった自然放電の大きさを克服。充電後の容量は、半年間放置しても従来品より15%多い約90%、1年後で約85%、2年後で75%を維持できるという。繰り返し充電できる回数は従来品より2倍の約1000回に伸ばした。

 同日、東京都港区のホテル日航東京で行われた発表会で、野中ともよ会長は「クリーンエネルギーをつくるグループから生まれたのがこの商品」と紹介して、快適な暮らしと地球環境への配慮を掲げた新経営ビジョン「Think GAIA」を強調した。乾電池は世界で400億個、日本で23億個が1年間で消費され、廃棄されているという。充電池市場で世界シェア40%を占める同社は、使い捨ての乾電池から充電池への切り替え推進を目指す。

 また、充電式ニッケル水素電池については、松下電器産業も31日、ジーエス・ユアサコーポレーションと共同開発した製品を06年2月1日から発売すると発表した。従来品では充電後6カ月で約30%まで低下した容量を、6カ月―1年後も約80%を維持するという。可能な充電回数は三洋と同じ約1000回。希望小売価格は単3形が1134円(2本入り)、単4形が945円(同)としている。他社の動きに対し、三洋の本間充専務は「われわれは技術開発を完成させ、量産体制を整えないと発表しない」と違いを強調した。【了】

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