By Sam Churchill

ロシアが2020年代に一般人が利用できる「高級宇宙ホテル」のサービスを開始する方針であることが報じられました。計画によると、利用者は1週間から2週間にわたって国際宇宙ステーション(ISS)に設けられる専用区画で生活し、宇宙服に着替えて宇宙遊泳を行うという「オプションツアー」も用意される模様です。

Russia's Plan To Build a Luxury Hotel on the ISS

http://www.popularmechanics.com/space/satellites/a14471796/luxury-hotel-iss/?src=socialflowTW

この情報は、科学情報をわかりやすく伝える通俗科学サイトのPopular Mechanicsが報じたもの。それによると、宇宙ホテルはISSに接続されるモジュールの一つとして建設が行われ、4人程度の宿泊者を迎え入れる設備になる模様。各利用者には個室が与えられ、部屋には地球を見下ろすことも可能な直径20cmほどの小窓が設置されるほか、全員が共用するスペースには直径40cmの大型窓も装備されるとのことです。

また、利用者には一人ずつ衛生施設が用意され、軽い運動を行うためのエクササイズ設備や「機内Wi-Fi」までもが提供される模様。さらに、希望者には「船外作業服に着替えて船外に出て宇宙遊泳を行う」という有償オプションが用意されるとのこと。

宇宙ホテルは、ロシアが2021年の完成を目指して建設を進めている実験・電力モジュール「NEM-1」に良く似たものになるとの見込みです。NEM-1は総重量20トン・全長15メートルのモジュールで、92立方メートルの与圧区画(=空気があって宇宙服なしで生活できる区画)を備えています。



NEM-1の内部の構造はこんな感じ。今回報じられた「宇宙ホテル」は完全に違う構造になるはずですが、この円筒形のモジュールの中に個室が用意され、1週間から2週間程度の滞在をする様子はなんとなくイメージできるはず。



NEM-1は、国際宇宙ステーションのロシア側モジュールに接続されることとなっています。実際に宇宙ホテルがどの部分に追加されるかは不明ですが、同様にロシア側モジュールの一部として運用されるはず。



この計画は、ロシア宇宙旅行ビジネスを再開するために進めている計画の一部で、すでにロシア宇宙開発を行う国有企業ロスコスモスによる計画の精査が進められているとのこと。気になる費用は1週間から2週間の滞在で1人あたり4000万ドル(約45億円)というもので、間違いなく世界で最も高額なパッケージツアーということになるはず。さらに、滞在期間が1カ月に延長され、宇宙服を着た船外活動を含むオプション商品は2000万ドル(約23億円)という価格になるとも見込まれています。

いろんな意味で「夢を見るような」宇宙旅行ツアーですが、ベースとなるNEM-1の建設の遅れや、2028年にも運用終了と見られているISSのスケジュールとの兼ね合い、そして計画全体の採算性など、解決しなければならない課題はいくつか残されているとのこと。

特に、当初予定では、国からの資金が宇宙ホテルに投じられる予定はなく、資金は全て民間ベースでまかなう必要があります。モジュールの建設には2億8000万ドルから4億4600万ドル(約320億円〜500億円)の費用がかかり、この費用をペイするためにはより多くの顧客を宇宙へと運ぶ必要があります。しかし、仮に予定されている2022年に最初の打ち上げが行われたとしても、ISSの運用が停止される2028年までの6年間でどれだけの利益回収ができるのか、綱渡りに近い状態が続くことも予測されます。

なお、このツアー商品にお金を出せそうなレベルの富裕層は、2021年時点で世界で4万3000人程度いるはずだと見られています。