ミニストップはカフェや「ちょい飲み」需要に対応した「シスカ」を都内に出店

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 スーパーマーケットやコンビニエンスストアがイートインスペースを拡充している。コンビニではセブン―イレブン・ジャパンが全店舗のうち2割強、ファミリーマートとローソンが同3割強にイートインスペースを設置。買った商品をその場で食べられる利便性を、消費者の呼び込みに結びつけることを狙っている。

 ミニストップはパフェなどの冷たいスイーツを特徴としていることもあり、ほぼ全店にイートインスペースを設けている。2014年にはカフェや総菜販売などを組み合わせた業態「シスカ」を立ち上げた。

 飲酒禁止のイートインスペースが多い中、シスカは15時から生ビールを提供し、おつまみの盛り付けもしている。

 ただ利用者の8割以上は朝と昼だ。通常のミニストップ店舗と比べ女性客が多いのも特徴だ。岩本町店(東京都千代田区)は焼きたてパンの販売を始めたところ、販売前と比べ客数は2割伸びた。

 1日にはJR東京駅前の高層ビル、グラントウキョウノースタワー(同)内のミニストップを、シスカに転換した。オフィスビル内という立地を意識し、菓子や文房具を充実。他のシスカの2倍以上となる2500品目を置いている。

 商品棚の下部に在庫入れを設けてバックルームに行く手間を軽減、床を掃除しやすい素材にしたりと、従業員の作業負荷軽減も図った。

 コンビニ「コミュニティ・ストア」などを展開する国分グローサーズチェーン(東京都中央区)はカフェや“ちょい飲み”としての利用ができる「コミストキッチン」の展開を16年に始めた。

 イートインスペースと調理場を、店内に備える。横山敏喜社長は「コンビニ業界は大手の寡占化が進み、4位以下のコンビニは厳しくなる。切り抜けるための答え」と話す。

 スーパーマーケットもイートイン需要に着目する。首都圏で食品スーパーを展開するサミット(同杉並区)の竹野浩樹社長は「交流の場になる」と語る。三菱食品の調べでは、食品スーパー内のイートインスペースの利用率は若年層ほど高いが、昼過ぎには中高年の利用が増えるという。

 コンビニなどのイートインスペースの中には、フリーWi―Fi(ワイファイ)やコンセントが利用可能で、ゆったり時間を過ごせる所もある。一方で寝ている人や勉強する学生らで席が埋まり、食事をしたい客が使いづらい状況も見られる。イートインスペースを増やしているスーパーの幹部は「イートインの文化がなじむまでの過渡期」と、静観の構えだ。
(文=江上佑美子)