液体金属でトランジスタを作る技術が開発。将来は自在に変形する液体コンピューターが作れる?
カーネギーメロン大学の研究者が、液体トランジスターの研究開発を進めています。常温で液体の性質を持つインジウム・ガリウムを利用した非毒性の合金を使用し、その用途としては自由に変形できる特性を活かした体内埋込み型のモニター機器や、変形可能なロボットへの適用などを想定します。
カーネギーメロン大学ソフトマシン・ラボの研究者は、単にデジタル的に機能するだけでなく、柔らかく変形できる電子機器を開発する方法を探し求めて来ました。そして、常温で液体の性質を持つ、インジウムとガリウムを混合した液体合金を用いる方法にたどり着きました。
これは2つの液体金属の滴を並べて配置、そこに電圧を印加すると表面に酸化勾配を生じ、合金の表面張力を変化させて液滴間の合体/分離を引き起こす現象。研究者はこの現象を利用し、電圧を切り替えることで擬似的なトランジスターが構成できるわけです。
この液体合金には生体適合性があり、将来的に研究が進めば身体の組織に直接接触する疾病モニターとしてこのトランジスターを使用したり、脳卒中などで障害を負った患者の脳機能を回復させる液体コンピューターとして利用することなどが考えられます。
さらに研究チームの1人Carmel Majidi氏は、使用中に回路に損傷が生じた場合でも自在に変形できる特性を活かし、その部分を迂回するよう回路を再構成することも可能できる、また鳥のように大きなを物理的変形を繰り返す構造にも、適用可能な電子回路を構成できる可能性があると説明しました。
液体金属とコンピューターやロボットといえば映画「ターミネーター2」に登場するT-1000がどうしても思い浮かびます。さすがにT-1000を作ることまではまだ無理とはいえ、雰囲気的にはそれもいつかは実現するのではと思わせる研究だと言えそうです。