オリックスレンタカーが、メーカー希望価格2370万円というホンダの新型「NSX」を導入。値段は6時間7万200円〜で、38歳未満は貸出不可という条件付きですが、どのような需要があるのでしょうか。

納車まで1年 希少車種とはいえ…条件が厳しすぎる?

 レンタカー大手、オリックスレンタカー(東京都港区)のフランチャイズであるタステック・レンタリース(北九州市小倉北区)が、オリックスレンタカー八幡インター店(北九州市八幡西区)にてホンダ新型「NSX」のレンタルを2017年9月1日(金)から開始します。


オリックスレンタカー八幡インター店で貸し出される新型「NSX」の実車(画像:オリックスレンタカー)。

 この新型「NSX」はアメリカの工場で生産されている車種で、2016年8月に受注開始、2017年2月から日本でも発売されています。メーカー希望価格は2370万円(税込。以下同)で、日本での年間販売台数は100台。大手レンタカー会社では初の導入だといいますが、発注から納入まで約1年かかったそうです。

 レンタル価格は6時間で7万200円、24時間で11万7720円で、オリックスレンタカーによると「当社の乗用車タイプとしては最も高額」だそうです。加えて、利用には「運転免許歴20年以上」「ゴールド免許保有」などの条件があります。つまり、38歳未満は借りたくても借りられません。

 いかに希少車種とはいえ、価格的にも条件的にも厳しく感じられるかもしれませんが、どのような需要が見込まれているのでしょうか。オリックスレンタカーに話を聞きました。

――なぜ新型「NSX」を導入したのでしょうか?

「オリックスは面白い取り組みをしているな」と思ってもらいたい、という点が大きいです。トヨタレンタカーさんや日産レンタカーさんなど、メーカー系のレンタカーには、そのメーカーのクルマを知ってもらいたいという目的がありますが、当社はそうではありません。一般的なレンタカーにはないような高級車や輸入車を、これまで700台ほど導入しています。

――貸出条件が厳しすぎるように思えますが、なぜでしょうか?

 当社は過去にも同様の貸出条件をつけた実績があります。2008(平成20)年に大手レンタカーで初めて日産「GT-R」を導入し、1日3万5000円という価格で貸し出しました。そのときも「運転免許歴20年以上」「ゴールド免許」という条件をつけたにもかかわらず、大好評を得ました。

「『わ』ナンバーが恥ずかしい」は過去の話

――どのような需要を見込んでいるのでしょうか?

 1990年代から2000年代にかけて日本で製造され、人気を博した「NSX」を「懐かしい」と思っていただけるような、中高年のクルマ好きの方を想定しています。「乗りたいけれど、買うには辛い」という方にニーズがあると考えています。

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 高級車や輸入車を増やしているのはオリックスレンタカーなどの大手だけではありません。これらに特化した中小のレンタカー会社も増えているようです。

 福岡県と熊本県で、ポルシェ「ボクスター」など高級車専門のレンタカー事業を手掛けるエグゼクティブレンタカー(福岡市東区)によると、「当店を利用されるお客様は『買う前に乗ってみたい』という方が多いので、高級車・輸入車の販売台数が伸びていることも影響していると思います。また、自分のクルマを持っていて『別のクルマにも乗ってみたい』という方もいらっしゃいます。おもに利用されるのは、クルマにこだわりを持ち、よく知っている方です」と話します。

 オリックスレンタカーによると、このようなクルマをよく知る人にとっては、「『わ』ナンバーなんて恥ずかしい」という風潮があったそうですが、「その抵抗がなくなってきていると感じます」と話します。「わ」はレンタカーのナンバープレートに書かれるひらがなのひとつです。

 同社は「1台にこだわりをもつのではなく、様々な車種を賢く借りて使うという、『所有』にこだわらないライフスタイルが広がっています。ライドシェアやカーリースも業績が伸びているのも、その表れでしょう」と分析しています。

【写真】中古車市場でも約570万円! 初代「NSX」


初代「NSX」は1990年に登場。当時の新車価格は税別800万円〜だった。中古車情報サイト「カーセンサー」によると、2017年8月現在で中古車の平均価格は573.4万円(2017年8月、乗りものニュース編集部撮影)。