1回戦でシャラポワ対ハレプ、フェデラー対ナダルは準決勝で実現の可能性 [全米オープンPreview]

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 マリア・シャラポワ(ロシア)にとって、全米オープン復帰は容易なものにはならないだろう。薬物使用による出場停止処分から復帰後、初となるグランドスラム大会での彼女の初戦は、第2シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)に対するものに決まったのだ。

 この注目の1回戦の顔合わせは、金曜日のドロー抽選で引き当てられた。また、この抽選は、ロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)が決勝で戦う可能性を排除することになった。というのも、彼らが同じ上半分(ドローのトップハーフ)に入ったため、対戦が実現するなら準決勝で、ということになったのだ。奇妙なことに全米オープンは、この宿命のライバルふたりが一度も対戦したことのない唯一のグランドスラム大会でもある。

 全米オープン本戦は、8月28日に始まる。

 ナダルがニューヨークで第1シードとなるのは、2010年以来のことだ。フェデラーは今回、第3シードとなっている。ふたりはこれまで、ほかのグランドスラム大会での12回を含め、37回対戦した。今年はすでに3回対戦しており、いずれもフェデラーが勝利している。そのうちの一つが5セットの戦いとなった、1月の全豪オープン決勝だった。

 ナダルは6月に大記録となる10度目の全仏タイトルを獲得。フェデラーも7月に、やはり大記録の8度目のウィンブルドン優勝を果たした。フェデラーは総じて19回グランドスラム大会で優勝しており、ナダルが15回でそれに続いている。

 もうひとつの準決勝は、第2シードのアンディ・マレー(イギリス)と第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)が対戦する可能性がある。

 とはいえ、このドロー抽選のあった金曜日の最大の騒ぎは、シャラポワのハレプに対する1回戦だった。

 薬物使用による15ヵ月の出場停止処分から4月にツアーに戻ったあと、ランキングがまだ147位のシャラポワに、全米テニス協会(USTA)はワイルドカード(主催者推薦枠)を与えた。つまり彼女は抽選によって、ほかのどのプレーヤーと対戦してもおかしくはなかったのだ。

「エキサイティングな顔合わせね」と、前年度覇者のアンジェリック・ケルバー(ドイツ)は言った。「1回戦としては双方にとって非常にタフな試合だわ」。

 シャラポワは生涯グランドスラム(キャリを通じて4つの異なるグランドスラムで優勝すること)を達成している元ナンバーワンだ。彼女が過去に獲得した5つのグランドスラム・タイトルには、2006年全米オープン優勝も含まれる。彼女は2016年全豪オープンの際に、新しく禁止薬物となったメルドニウムで陽性と判定されたあと、15ヵ月の間、ツアーから追放されていた。

「皆が、現状ではどのような位置にいるのかを見たがっている選手、それがシャラポワだと思うわ。どのトップシードも1回戦でシャラポワを引き当てたいとは思わないでしょうね」と、元アメリカ・フェドカップ監督のメアリー ジョー・フェルナンデスは言った。「マリアはこのドローに怖気づくことなどないと思うわ。なぜなら、彼女を怯えさせることができる者がいるとは思えないから」。

 30歳のシャラポワは、全仏オープンでグランドスラム大会復帰を果たすこともできたはずだったが、出場停止期間は終わっていたものの、その間に落ちたランキングが出場に十分なだけ高くなく、フランステニス連盟は彼女にワイルドカードは与えない、という決断を下した。シャラポワはウィンブルドンの出場権を得るよう努める予定だったが、左腿の故障のせいで、結局グラスコート・シーズンを丸々スキップすることを余儀なくされた。

 シャラポワはハレプに対し、6勝0敗の戦績を誇っており、その中には2014年全仏オープン決勝での1勝も含まれる。ハレプは今年のロラン・ギャロス決勝でもエレナ・オスペンコ(ラトビア)に敗れ、やはり準優勝に終わっていた。

 女子のドローのボトムハーフで、準々決勝で対戦する可能性があるのは、ハレプ、あるいはシャラポワと、対ジョハナ・コンタ(イギリス)がある。またウィンブルドン・チャンピオンのガルビネ・ムグルッサ(スペイン)が、カロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)、あるいはグランドスラム大会優勝歴7回のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)と対戦する可能性もある。

 ウイリアムズの妹で、グランドスラム大会で23回優勝した経験を持つセレナは、妊娠中のため、今年の全米オープンには出場していない。

 一方、女子のドローのトップハーフでは準々決勝で、世界1位のカロリーナ・プリスコバ(チェコ)と、2004年全米オープン優勝者のスベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)が対戦する可能性がある。またケルバーかオスタペンコが、エリナ・スビトリーナ(ウクライナ)、あるいはマディソン・キーズ(アメリカ)と対戦する可能性もある。

 昨年の決勝では、ケルバーがプリスコバを破って世界1位の座に上った。しかしケルバーの2017年は、全仏オープンでの1回戦負けをはじめ、かなり険しいもので、彼女はいまや6位にランキングを落としている。全米オープンが終わったときに世界1位となる可能性を持っている女子選手は、全部で8人もいるのだ。

 そして男子では3人----ナダル、マレー、フェデラー----が大会後に世界1位となる可能性を手にしている。

 男子のドローで実現する可能性のある準々決勝の顔合わせは以下だ。ナダル対グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)、フェデラー対ドミニク・ティーム(オーストリア)、マレー対ジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)、ズベレフ対2014年優勝者のマリン・チリッチ(クロアチア)だ。

 チリッチは今年のウィンブルドン決勝でフェデラーに敗れた試合で、足の水膨れ(いわゆるマメ、靴ずれ)に行く手を阻まれ、以来一試合もプレーしていない。チリッチはその後、左脚の故障にも苦しめられ、2週間の間、練習すら行うことができなかった。

「前哨戦をまったくプレーせずにグランドスラム大会にやって来たことは、これまで一度もなかった」とチリッチは言った。「だからこれは僕にとって、比類ない経験になるだろう」。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は8月28日に開幕する「全米オープン」で、第2シードのシモナ・ハレプ(ルーマニア)と1回戦を戦うことになった元世界1位で現147位のマリア・シャラポワ(ロシア)(写真◎Getty Images/7月31日に撮影)
Photo: STANFORD, CA - JULY 31: Maria Sharapova of Russia warms up before her match against Jennifer Brady of the United States during day 1 of the Bank of the West Classic at Stanford University Taube Family Tennis Stadium on July 31, 2017 in Stanford, California. (Photo by Lachlan Cunningham/Getty Images)