冷蔵室

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 ひと家庭で年間に廃棄する食材の金額は、平均なんと6万円! 実は、冷蔵庫の使い方をちょこっと見直してみるだけで、そのムダはグ〜ンと減らせるんです! 庫内がスッキリ片づくことで、家事も効率化し、時短や節電にも!!

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 冷蔵庫の進化は日進月歩。野菜はみずみずしさを長く保ち、肉や魚のうまみは逃げにくくなった。とはいえ、必ずいつかは腐る。“永遠”はありえない。

「環境庁が京都で調査をしたところ、家族4人の1年間の食品ロスは平均6万円。それだけあれば、家族旅行も外食もできるのに……もったいない!」

 こう話すのは、ラク家事アドバイザーの島本美由紀さん。腐った、余った、賞味期限が切れたなど、ロスの理由は複数あれど主な原因はひとつ。冷蔵庫を正しく使っていないから!

まず押さえたい、買い物の注意点

 食材をムダにしない第一歩は、賢い買い物にあり。

「冷蔵庫の在庫を見て、夕食のメインだけでいいのでメニューを決め、メモを作ってスーパーに行きましょう。時短ショッピングになり、必要なものだけを適量買えて、節約につながります。ちなみに空腹時は買いすぎる危険性大なので、避けるか、おやつをひと口食べるかして、出かけてくださいね♪」

 買った食材の収納法については、島本さんの冷蔵庫をお手本にしたマル秘テクニックをご紹介します。

冷蔵室「よく使う場所だからこそ“7割収納”」

 冷蔵室には、何でもやみくもに詰め込みがち。「詰め込みすぎて吹き出し口がふさがれると冷気の流れが悪くなり冷却効率もダウン。ムダ買いの原因である“食材の迷子”を防ぐためにも、ゆったり7割収納が正解です」(島本さん・以下同)

【A】3分の1のスペースをあける

 7割収納のために、カゴやトレーなどを使って、空間を仕切り3分の1の空きスペースを確保しよう。いただきものや余った料理など、突発的な食材の保存にも便利。

【B】ものの指定席を作る

「ないと思ったけど、あった」が、食材のダブり買いを引き起こす。ものの指定席を作れば食材の見失いがなく、さらに素早く冷蔵庫から取り出せるので、電気代の節約にも◎。

【C】最上段はドリンクや保存期間の長いものを

 目線のあまりいかない最上段は、ドリンクや乾物など日持ち食材の指定席。「この棚は前後に分けて使うと出し入れしにくいので、奥行きが棚と同じくらいの、トレーやカゴを利用するのがオススメ」

【裏ワザ1】100均のトレーの裏にクリップをテープで貼り、前方に向かって斜めになるようにする。ドリンクを収納すると、前方の1本を取るたび次の1本が転がる、コンビニ方式になる。

【D】「これなんだっけ」を減らす中身の見える容器に入れる

「中身が見えない容器に常備菜や余った惣菜を入れると、存在自体を忘れてしまいます」。透明なプラスチックやガラスのものを使い、さらに同じ容器で統一すると、スペースの効率化にも。

【E】可動棚は臨機応変に使う

 棚に奥行きがありすぎると、食材が埋もれ、使い忘れ→腐らせるという負の連鎖に。「スライドタイプは半分しまって手前を広く使い、棚板の間隔が調整できるものは、最下段の棚をはずすとスペースが有効に使えます」

【F】取り出しやすくまとめる

 バターやジャムをひとつにまとめた“朝食セット”や、保存食材をまとめた“お弁当セット”など、用途や使うタイミング別にざっくりとひとまとめ。散らからず、残量も把握しやすく、サッと取り出せて便利!

ドアポケット「飲み物よりも調味料が向いている」

 ドアの開閉時の振動のため、実はドリンク置き場には不向き。温度変化が大きいので、傷みやすい食材もNG。「調味料を置くのがオススメです」

【G】チューブ類は立ててしまうと使いやすい

 ペットボトルを半分に切り、切り口にテープを貼れば0円で縦置きグッズのできあがり。「分離するのでケチャップはキャップを上に。マヨネーズは下にしましょう」

【H】小袋は専用ケースに入るだけの量に

 タレやカラシなどの小袋調味料は、専用ケースにまとめ、入りきるだけ保存を。「ケースは100均に売っています。フック付きなので、卵の棚などにつければ使いやすい!」

【I】調味料は開封日をメモる

 調味料を開けたら、開封日をメモ。「開封から2〜3か月以内で使いきるのがベスト」。しょうゆなど毎日使うものは、書くまでもないのでメモは不要。

【裏ワザ2】使いかけの乾物などは、大きめのクリップでドアポケットに引っかけて目につくように!「衛生的ですし、忘れずに使いきれます」

チルド室「適度な冷気でおいしさ長持ち♪」

 冷気の逃げにくいチルド室は肉や魚などの生鮮食品をおいしく保存するのに最適。発酵食品の風味ももちます。また、ホームフリージング食材の解凍場所としても活用できます。

【J】仕切りは浅いカゴが◎

 フタのあるチルド室は細かく仕切ると使いづらくなるので、食材をまとめるカゴは見やすい浅めのものがGOOD。

【K】食材ズラし置きで奥まで見やすく

 魚や肉の入ったプラスチックトレーは、ズラして商品の顔が見えるようにすれば、見やすく、かさばらずで一石二鳥!

野菜室「形も特徴もさまざまなものを上手にしまう」

 野菜は種類も形もさまざまなだけに、長くフレッシュに保存するには、ちょっとした工夫がものをいいます。しっかり使いきるために、保存袋や新聞紙、カゴなどの道具も大いに活用し、賢く収納しましょう。

【L】上段は小さいもの、日持ちしないものをIN

 引き出し式になっている上段は、シソなど小さくてデリケートな野菜や、もやしなど水分が多くて日持ちしない野菜を入れるのがGOOD。

【M】使いかけはカゴにまとめて使い忘れ防止

 ハンパに残ってしまった使いかけの野菜は、ひとつずつラップで包むか保存袋に入れ、専用のカゴを作ってひとまとめに。使い忘れを防ごう。

【N】下段は細かい仕切りは不要。ゆったり使う

 下段は細かい仕切りを作らず、全体の4分の1くらいの空きスペースを作るのが理想。「まるごと買った白菜やキャベツなど、大きなものがスッポリ入れられます」

【O】ポリ袋と新聞紙を下に敷く

 野菜室の底面には、まずポリ袋を敷いて、その上に新聞紙を敷くと、掃除が楽。「新聞紙は汚れればサッと替えられますし、万が一、水けが出た場合は、ポリ袋がしっかりガードします♪」

《注意》野菜を重ねて入れるのはNG。野菜の収納は「上に重ねない」が鉄則。重ねてしまうと下になった野菜が傷んでしまう。平置きをする、もしくはカゴやスタンドなどを使い野菜同士の接触を避けて。使い忘れ・ダブり買いの防止にも。

《注意》野菜が長持ちする保存法
・「成長した環境に近い状態」がすべての野菜保存の共通項
・葉物野菜は立ててしまう
・原産地が熱帯・亜熱帯の野菜や果物は、常温保存で
・夏野菜は10℃前後の保存が最適。5日以上の保存は、どの野菜も野菜室に入れる
・カット野菜は足が早いので、ラップや袋に入れて保存がマスト

冷凍室「ここだけ“7割以上収納”を心がけて」

 冷蔵室とは逆に、冷凍室は収納量が多いほど冷気が効率よく回り、その機能が最大限に生かせます。容量の7割から9割が目安。だからこそ、ぎゅうぎゅうに詰め込むと使い忘れの原因になるので、見える収納を心がけて。

【P】アルミトレーで早く薄く凍結

 素早く凍結するほど、食材の味は落ちません。「食材を入れた袋はアルミトレーにのせて、冷たさを効率的に巡らせ、時短で凍結させましょう」。薄く平らに凍結すれば、縦置きもでき解凍も簡単!

【Q】上段は小分けのものを一括

 ドアの開閉で温度変化に影響されやすい上段は、細々したものを。「小分けにした薬味、1食分のごはん、カットした油揚げなど、小さいものを散らからないように、カゴなどに一括して収納しましょう」

【裏ワザ3】みそは冷凍保存がベスト。「みそは塩分が多いので、冷凍室でも凍らないんですよ。風味も変わらず長持ちするので、冷凍室での保存がオススメです」

【R】ブックエンドを使い立てて収納

 保存袋はカゴに入れると、中身の増減でムダなスペースが生まれることがあるので、ブックエンドで仕切るのが◎。「より冷えが回る、金属製のものがいいですね!」

【S】使いかけは必ず保存袋に入れて

 すべての冷凍食品は、開封したら保存袋に入れて冷凍を。「保存袋に入れ替えるのではなく、外袋のまま入れるのがオススメ。二重袋にしたほうが、霜がつきにくくなります」

【T】中身がすぐわかる工夫を

 Wクリップに日付とざっくりした食材名を書いて保存袋にとめると、上から見えて便利。「“食材の化石”にならないよう、冷凍してから1か月以内を目安に食べきりましょう」

<教えてくれたひと>
島本美由紀先生◎ラク家事アドバイザー・料理研究家。手軽に作れるおいしいレシピを考案するとともに、家事全般の楽(楽しくカンタン)を追求。冷蔵庫と食材保存のスペシャリストとして、実用的なアイデアを多数提案し、著書は40冊を超える。