峯村リエ

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古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、テレビ業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第26回は山名宏和が担当します。

峯村リエ 様

 今回、勝手に表彰させていただくのは、女優の峯村リエさんである。

 名前を聞いただけではピンとこなかった方も、顔写真を見れば、誰のことだがわかるだろう。

 以前から気になる脇役としてドラマに出演していたが、今年に入ってから『踊る!さんま御殿!!』や『ダウンタウンDX』(ともに日本テレビ系)などのバラエティ番組にも出演するようになり、認知度は一気にアップ。おそらく本人は真剣なのだろうが、どこかふざけた感じが拭えないトークで異彩を放っている。

 突然のブレイクのきっかけは、昨年のNHK大河ドラマ『真田丸』の大蔵卿局(おおくらきょうのつぼね)だ。脚本を書いた三谷幸喜さんも絶賛したヒール役。その役柄のせいで「私自身も嫌なヤツと思われて困っている」とある番組で嘆いていたが、実際はどんな人物なのだろうか。

 峯村さんは舞台出身。今でもナイロン100℃という劇団に所属し、舞台にもよく出演している。今回、僕の揖保乃糸ほどの演劇人脈を使って、彼女の人物像を探ってみた。

 関係者からもっとも多く返ってきたのは、こんな印象だ。

「人当たりがいい」

「誰とでもすぐ友達になる」

「知り合いの数が多い」

 実は『真田丸』は一度も観ていないので、想像で書くが、大蔵卿局とは真逆の評判である。

「共演者がやりやすい」

 そんな声もあった。

 舞台の稽古中、掛け合いのシーンなどでは、役者どうしで演技プランを考えることもある。そういうとき、年下の提案になかなか乗ってくれない役者も多いと聞く。だが、峯村さんの場合、後輩のアイデアでも面白いと感じたら、面倒なことは言わず、とりあえず試してみてくれるという。これは共演者、特に年下の共演者にとってはかなり嬉しいはずだ。

 そしてこんなふうに、人当たりがよく、共演者がやりやすいとどうなるか。

「客演が増える」

 客演とは自分の劇団以外の公演やプロデュース公演に出ることである。

 確かに峯村さんは、今ほど知名度が上がる前から、自分の劇団以外の公演にたくさん出ていた。もちろん、客演として呼ばれるのは、「存在感がある」「声が独特」「デカいのにキュートな役もできる」といった峯村さんの役者としての魅力が大前提にある。しかしながら、演劇界、特に小劇場と呼ばれる世界は、人間関係によって次の出演作が決まることが多いのも事実。若い頃からのあの客演の多さには、人当たりのよさも少なからず関係しているはずだ。

 客演が多いことは役者にとってプラスに作用する。いろいろな演出家に出会うことで演技の幅が広がるからだ。これはバイプレイヤーとしては、かなりの強みである。

 そこで今回、峯村リエさんには「遅れてきた(物理的な)大物女優賞」を勝手に差し上げ、勝手に表彰します。

 峯村さん、50代独身女性の枠は、バラエティ番組には人材が少ないので、今後とも出演のほどよろしくお願いします。

<プロフィール>
山名宏和(やまな・ひろかず)
古舘プロジェクト所属。『行列のできる法律相談所』『ダウンタウンDX』『世界何だコレ!?ミステリー』といったバラエティー番組から、『ガイアの夜明け』『未来世紀ジパング』といった経済番組まで、よく言えば幅広く、よく言わなければ節操なく、放送作家として活動中。