<新刊レビュー>ユーミンとフランスの出会い、“のせ猫”第6弾、広重の東京案内

写真拡大 (全4枚)

ユーミンが語り尽くす「フランスが私に教えてくれたこと」

■『ユーミンとフランスの秘密の関係』
(松任谷由実=著 2500円 CCCメディアハウス)

この記事のすべての写真を見る

『フィガロジャポン』の人気連載「アンシャンテ ユーミン!」が書籍化。ユーミンが若いころから影響を受けてきたパリジェンヌやフランス文化について自ら語り、さらに書籍化にあたり人気作家・柚木麻子氏とも対談。青春時代など一時期でも荒井由実やユーミンの楽曲と過ごした人ならば興味深く読めるはずだ。

 また、『セシルの週末』に出てくる“セシル”は作家フランソワーズ・サガンの名作『悲しみよこんにちは』のヒロイン名からとった、などさりげなく登場するユーミンの名曲とフランスとの素敵な関係にも興味をそそられる。

 後半には実際にフランスのコートダジュールやパリへと旅をした模様も写真とともに収録。最後には日本の古都・金沢へ思いを馳せる、というユーミンワールドにどっぷり浸れる内容だ。数々の名曲をBGMに読みふければ、未来に夢を抱いていた若かりし時代へタイムスリップできるかもしれない一冊。ダンナや子どもの寝静まった深夜にひっそり読むのがオススメ。

(文/アリス美々絵)

累計41万部の大人気・のせ猫シリーズ第6弾!

■『のせ猫 かご猫シロと季節のなかで』
(SHIRONEKO=著 900円 宝島社)

 まるでスフィンクスのように座り姿の美しい猫たちが両腕にのせているのは、りんご、にんじん、タケノコ? 南部せんべい……。どうやらこの子たちは岩手県に住んでいるらしい。双子のちびたちが大きなゆず4個を仲よく寄せ合って、ピラミッドを建築している姿はなんとも微笑ましい。長くて細い美脚が自慢の次男坊・茶トラは、グレープフルーツ3個のせも楽勝で、さすが兄貴!

 長男のシロはいつも眠そうな顔をしているわりに、頭に6個のみかんタワーを軽々のせる曲芸ぶりを披露。“のせ猫”ファミリーの大黒柱として君臨する姿には畏敬さえ覚えます。

“のせ猫”6兄弟の“のど自慢”ならぬ“のせ自慢”は延々と続きます。春の陽気の縁側から、夏の畑、秋の林、冬の雪の中まで、舞台をかえて1年中。雄大な自然をバックに生き生きと“のせライフ”を楽しむ彼らには、都会の猫たちにはない余裕を感じます。人間の私でさえ羨ましく思ってしまうほどです。

(文/週刊女性編集部)

全119作品、地図と写真つき!浮世絵で楽しむ江戸名所ガイドの決定版

■『広重 TOKYO名所江戸百景』
(小池満紀子・池田芙美=著 2500円 講談社)

 歌川広重最晩年の代表作『名所江戸百景』の美しい浮世絵とともに江戸の名所を紹介した1冊。広重が描いた場所を著者が半年以上を費やし現地取材した労作です。1作品1見開きで解説とともに現在の地図と写真を掲載。時を越えて「広重が見た風景」を体感できます。 

 また、効率よく名所巡りができるように「日本橋・霞が関界隈」など5つの地域ごとに作品をまとめ、寺社や石碑といった近くに残る見どころも紹介。江戸時代の屋敷や街道、川の位置を地図中に示すなどガイド本としての工夫もうれしいところ。

 さらに掲載するのは彫り、摺りともに国内外トップクラスの質を誇る「原安三郎コレクション」の初摺! 作品のどの部分に浮世絵のどんな技法が用いられているのか、見落としがちな細部に何が描かれているのかも丁寧に解説され、画集としても十二分に楽しめる1冊です。

(文/松岡理恵)