あの勝間さんの家事本がスゴイ!夕食作りの平均は51分「でも私は20分で3品作れます」
超ロジカル家事にすると「劇的な時短」「身体が疲れなくなる」「脳も疲れなくなる」「お金が増える」「世界一カンタンに幸せになれる」、というのは経済評論家の勝間和代さん。勝間式「超ロジカル」家事で幸せになる方法、教えます!
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ブラック企業、ワンオペレーションなど、企業の過酷な労働環境が、ちかごろ話題になっています。
この動きを受けて、政府も労働環境の改善に向けて、大きく舵を切り始めました。
しかし、働く母親のほとんどが、ブラック企業並み、もしくはそれ以上の過酷な状況にあることについて、大きく取り上げられることは少ないように思えます。
職場ではフルタイムで働き、自宅に帰ってきてからも深夜まで続く家事と育児――「ワンオペ育児」や、「日本死ね」で火が付いた保育園問題などが、さらにその過酷さを加速させています。
働く母親たちの「家事に殺される!」という悲鳴は、年々強くなってきていることは間違いありません。
私自身も、3人の娘を育てながら働き続けてきました。そして、一時は家のなかが足の踏み場もないほど散らかった状態になったり、今考えると頭がクラクラするほどの金額をかけて家事代行サービスを頼んでいた時代がありました。
そんな生活が数年続き……自分ですべての家事を被りながら仕事を続けることの大変さや、家事代行を頼んでも生活の質を上げることにはつながらないことなどを、痛感しました。
そこで、「仕事のペースを落とさず、自宅でおいしい食事が食べられて、いつも片付いたきれいな家を保つ方法を徹底的に考えよう!」と一念発起したのが、2年前のこと。
これまで、経済評論や経営コンサルティングとして積み上げてきた知識と思考をフル稼働させて、家事を徹底的にロジカルに分析、最も効率的、最もコスパのよい家事の方法を、構築したのです。
拙著『超ロジカル家事』(アチーブメント出版)では、そのすべてを記しましたが、何事も仕組みや原則を知ることで、何を省き、何を効率化できるのかが初めて見えてきます。
そして、最大限に効率化することで、時間だけでなく、お金のムダも見事に省かれることがわかりました。
ここではその一部についてご紹介しましょう。
家事を超ロジカルにすれば、時間が生まれる
家事は「こうせねばならない」という、思い込みが多いものです。その思い込みによって、働く母親たちが自分で自分の首をしめているケースは非常に多いといえます。
そこから脱却するだけでも、大幅に時間が短縮されるはずです。
特に料理にこの「思い込み」が多いのですが、たとえば、出汁(だし)の取り方もその一つ。大なべにお湯をグラグラ沸かして、かつお節を入れて煮だして……という、重労働。実は、おいしい出汁をとるためには不要なのです。
というのも、お湯で煮出すより、水に浸してほったらかしにしておくほうが、ずっとおいしくて澄んだ出汁がとれるからです。朝に煮干しと水をポットに入れて冷蔵庫に入れておくだけで、夜には味噌汁用の上質なだし汁が完成しています。煮立たせないので、煮干しは頭やワタを取る必要もありません。
これだけでもかなりの手間と時間、ガス代や電気代がカットされます。
また、どんな食材も包丁を使う、という手順があたりまえになっていませんか。実は、包丁を避けるほうが、時短になるケースは非常に多いのです。
例えば、皮付きの鶏もも肉やシイタケのいしづき、ほうれん草の根などは、キッチンばさみのほうが断然切りやすく、スピードも速いです。
また我が家にはリンゴの皮むき器をはじめとして、トマトのへた取り器、アボカドスライス器など、よく食べる食材には専用カッターを用意しています。一度に一か所しか切れない包丁よりも、数段早くカットできるからです。
なかでも、じゃがいも一個を一瞬で棒状にカットしてくれるフレンチフライカッターは導入して大正解の逸品。娘の大好きなポテトフライを作るのが非常にラクになりました。
また、私は料理のメインイベントである「焼く」「蒸す」「煮る」のすべてはスチームオーブンレンジやIH電気鍋などの調理家電に任せています。
なぜならスイッチ一つ押すだけで、調理の間、ほったらかしにできるから、出来上がるまでの時間が「自分の時間」になるからです。
調理家電が働いてくれている間、洗濯や掃除など他の家事を片づけたり、子どもの宿題をみたり、テレビを見たり――料理は火をつけてフライパンや鍋を使うもの、という思い込みを捨てたことで、生まれた時間です。
しかも時間や温度を自在にセットできるので、出勤前にカットした肉と野菜にだし汁をあわせてIH鍋に入れてセットしておけば、帰宅後にはおいしい煮ものができている、なんてことも可能。
「早く帰って夕食を作らなくちゃ!」という毎日のストレスから、永遠に解放されます。
また、仕事帰りに混んでいるスーパーに行って、重い買い物袋を疲れた体で運んで……なんて人は、「買い物はスーパーで」という思い込みを捨てることをおすすめします。それだけで、忙しい夕方の時間を20分はロスします。
買い物は通勤中の電車の中で、ネットスーパーで済ませれば5分で終了します。さらに、希望の時間帯に自宅に届けてくれるので、重い荷物を運ぶという身体的負担も一切なくなります。
さらに買い物について話せば、下ごしらえに時間のかかる食材を買うことをやめるのも時短に有効な手段です。
鶏もも肉ならカット済みを選ぶ、皮むきやアクをとる必要のない野菜を選ぶなど、料理の手間が増えるものを避けるのです。
栄養が偏るからいろんなものをバランスよく……という思い込みからあれこれ買う必要はありません。手間なし食材に限っても、今の食材は十分に豊富ですので、栄養不足になることは決してありません。
家計を超ロジカルにすれば、お金が増える
先ほどご紹介した調理家電のお話をすると、どうしても「高いから買えない」「家族から反対されて……」という声が聞こえてきます。
確かに、スチームオーブンなどは、安いものでも4〜5万円はします。
しかし、調理家電だけでなく、家事の負担軽減、時短につながる家電費用は、消費ではなく、「投資」と考えてください。
例えば、私は調理家電を駆使すれば、20分で3品の献立をつくることが可能です。一般に、夕食づくりには平均で51分かかるそうです(2010年:トレンダーズ&キューピー調べ)。つまり、約30分の時短につながるわけです。
時給1000円でパートをしている場合、この30分多く働くことで1日500円のプラス、ひと月20日間働いていたら、1万円のプラスです。4万円のオーブンなら、4か月で回収可能な計算です。しかも、もちろんオーブンはその後も働き続け、30分の時間を生み続けてくれます。
だから、便利な家電はかなり分のいい「投資」、働く母親にとっては、間接的にお金を生む道具となるのです。
「だったら1日500円、節約を考えたほうがいい」という人もいるかもしれません。
実はわたしは、経済の専門家として「節約」というものをおススメしたことがありません。なんでもかんでも切り詰めて節約する方法は、ストレスなので長続きしにくいと思うからです。さらに、生活の質を上げることにつながりにくいということもあります。
お金は「枠」をつくって、そのうえで好きに使うほうがうまく貯まります。
つまり、月の収入(手取り額)に対して、使ってもいい枠を決め、その枠内で自由に使うことをおすすめしています。
たとえば、家賃なら収入の20%、教育費なら20%、通信費は5%、食費は自炊派なら15%、外食派なら20%といった枠が、健全でしょう。
一番大事なのは、収入から最初に20%の貯蓄分を「無きもの」とすることです。
毎月残った分を貯蓄に回す、という方法ではとてもじゃないけどたまりません。初めから貯蓄分を抜き、無いものとして忘れてください。目の前にごちそうがあると、すべて食べたくなるのが、人間です。でも最初からなければ、食べられません。
「気が付かないうちに貯まってた」というのが、貯蓄のコツです。
思い込みから脱却して、家事を時短する。お金は、消費ではなく「投資」する、そして「枠」で考える。
まずは、だれでもできるこの二つのコツで、家事と家計のロジカル化を計ってみてください。
勝間 和代(かつま かずよ)◎経済評論家 1968年東京生まれ。中央大学ビジネススクール客員教授。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得、大学在学中から監査法人に勤務。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。現在、株式会社監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員、国土交通省社会資本整備審議会委員。著者本に『2週間で人生を取り戻す!勝間式汚部屋脱出プログラム』(文藝春秋)『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践』(光文社新書)『断る力』(文春新書)他多数。