今年の春季関東大会の決勝戦のカードは、浦和学院vs東海大相模と決まった。浦和学院は2年ぶりの優勝。東海大相模は初優勝を狙う。そんな今回の決勝戦の見どころを紹介していきたい。

■日程付きのトーナメント表をチェック!

浦和学院は3試合でわずか4失点の2年生投手陣に注目!左腕・佐野は防御率0.00!佐野涼弥(浦和学院)

 浦和学院は4月27日、崖っぷちの状態に立たされていた。県大会2回戦の聖望学園戦で9回二死まで1点リードで敗れていた。そこから同点に追いつき、勝ち越して3回戦進出。あわや夏ノーシードの危機だったが、それを回避した浦和学院は県大会優勝。関東大会初戦では強力打線の横浜相手に渡邉勇太郎、佐野 涼弥の2人のリレーで完封勝利。

 準々決勝では近野佑樹、佐野の投手リレーで完封。準決勝では4投手のリレーで日大三を破った。ここまで好投が光っているのは背番号10の佐野である。ここまでの3試合、佐野はすべてリリーフとして登板。9.1回を投げ、13奪三振、無失点と抜群の安定感で勝利に貢献してきた。浦和学院はリードしてどう佐野に回すのかを考えて、試合運びをしてきた。

 佐野だけでは2人の2年生右腕の働きも素晴らしい。188センチ78キロの大型右腕・渡邉は、130キロ後半の速球、スライダー、カーブを織り交ぜて勝負。ここまで2試合に登板し、11回を投げて2失点の好投。また埼玉県大会から好投を見せてきた近野も先発・リリーフで好投を見せ、2試合で、6.2回を投げて無失点の好投を見せている。選手に高いレベルを要求する森士監督も、「投手を中心としたセンターラインはしっかりと成果を残している」と評価をしている。

 一方、打線は1番の矢野壱成が3試合すべて安打を打ち、チャンスメイクに貢献。強肩を生かした三塁守備も魅力で、埼玉県大会では広い大宮県営球場で本塁打を打っており、パンチ力を秘めた打者である。今年は一発を打つ打者は少ないが、コンタクト能力は高く、つながった時が怖い打線である。

 一致団結で2年ぶり6回目の関東大会優勝を勝ち取る。

東海大相模は140キロトリオと打率.583の森下翔太の出来がカギ森下翔太(東海大相模)

 一方、東海大相模は投打で総合力の高さを示して、勝ち上がってきた。投手陣のレベルの高さは、140キロカルテットで出場した2014年、小笠原 慎之介、吉田 凌、北村 朋也の3枚看板で甲子園優勝を果たした2015年とひけをとらないレベルになってきた。速球派右腕・秋田稜吾、最速142キロ右腕・斎藤礼二、1年生ながらベンチ入りした左腕・野口裕斗、右サイドから伸びのある速球で勝負する大和田聖人、左サイドから常時140キロ台の速球を投げ込む安里 海と登板した5人とも一定以上の成績を残しているところが素晴らしい。

 また打線は千葉敬愛に5回コールド勝ちしたり、準々決勝の健大高崎戦では、終盤に勝ち越しを決め、準決勝で作新学院の大関 秀太郎を攻略してサヨナラ勝ちするなど粘り強さと破壊力を秘めた打線は脅威だ。その中で中心打者として活躍しているのが、4番センターの森下 翔太だ。3試合で12打数7安打を記録。まず千葉敬愛戦で4打数4安打、健大高崎戦では1安打、作新学院戦では2本の二塁打、その1本がサヨナラ安打と勝負強さが光っている。さらに3盗塁を記録している俊足とセンターからダイレクト返球を見せる強肩も注目していただきたい。

 東海大相模は2年前の関東大会の準決勝で浦和学院と対戦して完封負け。その悔しさをばねに全国制覇につなげたが、ここは関東大会優勝を決めたいところだろう。

 準決勝の作新学院戦では途中まで作新学院の左腕・大関 秀太郎に終盤まで抑え込まれていたが、アグレッシブベースボールを合言葉にサヨナラ勝ちを決めた勢いを持続して、初の春の関東大会優勝を狙いたい。

 今年は清宮 幸太郎(早稲田実業)をはじめに話題性のある選手が多く登場したが、結果的に走攻守にハイレベルで、投手力も高いチームが決勝に勝ち進んだ。ぜひ決勝戦に相応しい好ゲームを期待したい。

▼春季大会の情報はこちらから2017年度 春季高校野球大会特集