迷い断ち切り、主将とエースが活躍中村(大島)

 大島は2回、二死一、二塁で8番・濱田雄一郎主将(3年)がライトオーバー三塁打を放ち、2点を先制。9番・中村誠斗(3年)にもレフト前タイムリーが出て、3点を先取した。

 6回は暴投で4点目。9回には9番・中村がセンターオーバー二塁打を放って5点目を挙げた。

 左腕・中村は緩急を生かした投球が最後まで崩れず、6安打完封した。

 濱田主将とエース中村。チームの主軸2人の活躍などで大島が完封勝ちした。

 この1カ月ほど、濱田主将は「迷いがあった」と極度の打撃不振に陥っていた。右打ちから左打ちにスイッチした頃、ボール球に手を出していた悪い癖が再発。身体も開いてボールが見極めきれなくなっていた。元々の右に戻そうかと前日の練習で試してみたが、より不安になるだけ。「迷うくらいなら左を貫こう」と覚悟を決めた。

 本来は2番だが、気負わず「大きな打撃ができるように」と塗木哲哉監督が8番での起用を告げる。濱田主将は「チームに貢献できるなら打順はどこでも構わない」と思った。2回、二死ながら一二塁と絶好の先制機で初打席が回ってきた。

 頭にあったのはこの1カ月間、奥裕史コーチと取り組んだ「間の取り方」。右足の親指でタイミングをとる感覚を意識するとボールがよく見えた気がした。特大のライトオーバー三塁打で2点を先制し、チームを勢いづけた。

 左腕エース中村も、春先から「思い通りのボールが投げられていない」悩みがあった。この日も、制球にはばらつきがあって、決して本調子ではなかった。だが、唯一良かった右打者の外角低めの直球を柱に、相手打者の狙いを読みながら、緩急を使って丁寧に狙いを外す投球が最後まで崩れなかった。

 終わってみれば自身公式戦初完封、打っても2打点の活躍だった。「完封したことよりも安定した投球ができたのが自信になった」と中村。

 外野で守っていた濱田主将は「チームの誰よりも走り込んで練習して、努力している姿を知っていたので、嬉しかった」と我がことのように喜んでいた。

(文=政 純一郎)