日大三vs専大松戸
日大三vs専大松戸の一戦は大荒れの試合展開となった。専大松戸の先発・濱名竜之介が、8球で降板。肘を痛めてしまったようで、この春はエース・川上 鳳之とともに活躍を見せてきただけに、痛い離脱である。そして代わりに登った川上は、「いきなりで、緊張してしまったけど、なんとか試合に入ることができた」と話すように後続の打者を140キロ台(最速145キロ)のストレート、125キロ前後のスライダーのコンビネーションで後続を抑える。
2回表、8番津原 瑠斗の適時打で日大三が先制。だが、日大三の櫻井 周斗もピリッとしない投球。立ち上がり、常時140キロ・最速143キロのストレート、125キロ前後の縦スライダーのコンビネーションで無失点に打ち取ったピッチングはこの日の好投を期待させるものがあったが、2回裏、初安打を打たれてから、一死一、三塁のピンチを招き、8番川上に同点スクイズを許すと、その後、暴投、昆野海翔の適時打で1対3と逆転。
これで乗っていきたい専大松戸だったが、3回表、川上がリズムを崩し、7番大塚 晃平の適時二塁打で同点にすると、8番津原の適時打で逆転。さらに打者11人の攻めで、一挙8得点。9対3と大きく点差を広げた。
これで日大三が試合の主導権を握ったかのように見えたが、3回裏には5番浅尾の適時打と挟殺プレーの間に2点を返し、4回裏には4番今里の2点適時打で、9対7と一気に2点差まで迫られる。
どちらも守備のミス、また四球が絡んでの得点が多く、専大松戸の持丸監督は「どうも試合の流れが公式戦のような緊張感がなく、練習試合のような感じの緩さがあったよね。そういうところがお互いミスを生んだかもしれないよね」と表現するように、これまでの2試合と比べると、緊張感が解けた試合に見えたが、専大松戸が追い上げたことで、中盤以降は一気に引き締まる試合展開となった。7回裏、専大松戸が一死一塁の場面で、日大三の二遊間が鮮やかな併殺を決めたが、これはしっかりと集中した上ではないと実現できないプレーだった。
8回表、先頭の櫻井が川上のストレートを打ってバックスクリーン弾。川上は「初めてバックスクリーンにもっていかれました。レベルが高い打者はこんな打撃もできるんだ」と櫻井の本塁打に目を丸くした。
結果的にこの一発は非常に大きかった。その裏、専大松戸は2番昆野の適時打で10対9と1点差に迫り、9回裏も二死一、二塁と同点のチャンス。ハラハラするような試合の流れとなった。しかし最後は日大三の2番手・柿澤が9番石川をストレートで空振り三振に打ち取り、試合終了。もし櫻井の一発がなければ、同点。もしかしたら勢いに乗って逆転されていた可能性もあっただけに、大きな一発となった。日大三が準々決勝進出を決めた。
日大三は岡部 仁が負傷でベンチ外となっているだけに、柿澤が好投を見せたことは、夏へ向けて収穫が残る内容となった。
専大松戸も、一時、6点差を広げられながらも1点差まで迫った粘り強さを見せた。千葉県にはなかなかいない140キロ台の投手と対戦したことも夏につながる内容だったといえるだろう。
課題は投手育成。濱名の夏復帰が不透明な状況だけに、短期間の間に投手を育成できるかにかかっているだろう。
(取材・写真=河嶋 宗一)
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