前橋育英vs駿台甲府
1点を争う好勝負となった。前橋育英の先発・根岸 崇裕は192センチの長身から常時130キロ後半の速球、130キロを超えるスライダー、カーブ、ツーシームを織り交ぜながらピッチングを展開。ミート力が高い駿台甲府打線を打たせながら無失点に抑える投球。
荒井直樹監督も「今まで見た中では一番良かった」と絶賛するほどの内容を見せた根岸。県大会から先発として投げているが、「今までの公式戦でもこれほどのロースコアの中で投げたのは初めてでしたが、しっかりと投げられてよかった」と本人も手応えを感じる投球だった。
一方、駿台甲府の先発・杉田俊介(2年)は、166センチの小柄だが、投手として大事なメンタルの強さを持った投手。
常時120キロ後半の速球を内外角に投げ分け、さらに変化球を低めに集めることができて、粘っこいピッチングができる投手で、打たれそうで打たれない。山梨を勝ち抜いたのも理解できる投手で、何度もピンチを招きながらも、3回裏二死満塁、5回裏二死満塁のピンチを抑え、無失点に切り抜ける。荒井監督は「駿台甲府さんの守備力の高さは、前日の公式練習から感じていました。先発の杉田君は変化球が良いですし、苦しい試合展開になると思っていましたが、これほど苦しむことになるとは...」杉田の投球に加え、前橋育英打線を苦しめたのが2番手の荘司宏太(2年)だ。170センチ76キロとがっしり体型をした投手で、真っ向から振り下ろすオーバーハンド。常時130キロ中盤〜138キロを計測しており、7回裏、1番丸山を138キロのストレートで空振り三振を奪った投球で、自信をつけた荘司は、前橋育英打線を抑える。
駿台甲府は8回表、二死一、二塁のチャンス。ここで前橋育英は切り札左腕の丸山 和郁を投入。丸山が140キロ前後の速球で無失点に抑えると、9回まで試合が決着がつかず、試合は延長戦へ。
10回表からタイブレーク方式となり、無死一、二塁でスタート、駿台甲府は犠打を試みたが、丸山の素早い処理で、フォースアウトを決めると、後続の打者を抑え、10回裏へ。前橋育英は一死二、三塁から2番黒澤駿太(3年)の左犠飛でサヨナラ勝ちを決めた。
荒井監督は、「得点力、変化球の対応が課題となりましたが、緊張感ある試合の中で無失点、無失策で終えたことは、守備を身上とするうちにとっては良いゲームだったと思います」と打線を課題に挙げながらも、自分たちのカラーを発揮できたことを評価していた。
(取材・写真=河嶋 宗一)
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