今年の関東大会はあえて走らない!強打で健大高崎がコールド勝ち!いきなり三塁打を打った安里樹羅(健大高崎)

 健大高崎が今回の関東大会でテーマにしていること。それは夏の大会につながる大会にすることだ。健大高崎は機動破壊がお馴染みだが、この試合はあえて走らず、打って点を取ることをテーマにした。青柳博文監督は「夏になると打力が必要となります。走るだけの得点では、夏では通用しないので、いかにして打って点を取ることがポイントでした」指揮官の期待に応えるべく健大高崎の選手たちはお得意の速攻劇で試合を決めた。まず1回裏、1番安里 樹羅(3年)が右中間を破る三塁打を打つと2番小野寺大輝(3年)が左前適時打を放ち、1点を先制する。さらに一死二、三塁から、5番堀江悠介(3年)の適時打で3対0とする。

 だが反省点は多かった。3回裏、一死満塁のチャンスを併殺で潰してしまい、5回裏にはスクイズ失敗する場面もあった。その場面について、「そういうところがもっと楽な試合展開になっていたかもしれません」と青柳監督は語るが、それでも4回裏には小野寺の適時三塁打、5回裏には今井佑輔の適時打で5対0と点差を広げるところはさすがである。

 投手陣は安定したピッチングを披露。県大会から好投を見せていた小野 大夏が常時135キロ〜138キロのストレート、スライダー、ツーシーム、カーブを投げ分けるピッチングで、6回まで1安打に抑えるピッチング。7奪三振と投球回以上の三振、そして内野ゴロ5つ(バント除く)と、安定感抜群の内容だった。 「今日はツーシームでうまく打たせることができましたし、フォークでも空振り三振を奪うことができた」と納得顔の小野。

 7回裏からは左腕・片倉雅史(3年)が無失点に抑えると、8回表には右下手投げの長嶋光希(3年)にスイッチ。長嶋も無失点に抑え、8回裏、是澤涼輔(3年)が安打で出塁すると、4番渡口大成(3年)の適時打を打つと、5番根井大輝(3年)が適時打を打ってコールド勝ちで、2回戦進出を決めた。

 健大高崎は選抜後からメンバー変更、打順変更するなど、戦力の底上げを図っており、上手い形で試合運びが続いていく。次は山梨王者の山梨学院と対戦。強敵となるのは間違いないが、「強いチームと戦うことが夏につながる。一つでも多く試合をしていきたいですね」と述べる青柳監督の考えは選手たちも一致している。全国レベルのチーム同士の一戦は激しい試合が期待できそうだ。

 敗れた石岡一だが、先発の岩本大地(1年)の投球が光った。1年生ながら、173センチ72キロとがっしり体型をした投手。コンパクトなテークバックから右スリークォーターで投げる岩本大は常時130キロ〜135キロを計測。指にかかった時のストレートは非常に威力があった。青柳監督も「良いストレートを投げていましたね!これからが楽しみです」と評価。そして2番手の岩本 匠平(2年)も、181センチの長身から角度のある常時120キロ後半の速球を投げ込んでおり、将来性は高い。この夏だけではなく、秋へ向けても楽しみな選手が登場していた。

(取材・写真=河嶋 宗一)

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