清宮幸太郎、高校通算93号までの軌跡!
選抜前から春季都大会途中まで不調が続いていた清宮 幸太郎(早稲田実業)。高校通算79本塁打を打ってから、1か月間の長い足踏みが続いていたが、駒大高戦の2本塁打で「感覚をつかんだと思います」と本人が話したように、完全復活を果たした。GW期間で、本塁打を量産した清宮は熊本の招待試合で、93号まで伸ばした。復調の要因を探る。
清宮幸太郎(早稲田実業)いかにして清宮は復調したのか?
清宮は選抜大会前から不調にあえいでいた。象徴的だったのは大会前の中央大との練習試合。5打数1安打に終わった。この試合では、ボールが見えておらず、清宮の悪癖である手首の返りが早く、突っ込み気味の打撃フォームとなっていた。選抜大会でも復調できず、フライを大きく打ち上げたり、高めの速球に手を出して凡フライ。本来の活躍ができないまま、2回戦で姿を消すこととなった。選抜大会後の東京都大会でも同じく内野フライや外野フライなど、「仕留めきれなかった」と本人が語るように、打ち損じの打球が多かった。
その中でも、清宮は指導者と話し合いながら、フォームを確認したり、良い時の映像を見て、現在の自分の打撃フォームを比較しながら、修正を努めてきた。そして駒大高戦。第3打席で、清宮は駒大高の本格派左腕・吉田 永遠から特大のホームランを放つ。突っ込みすぎず、手元までボールを呼び込んで打ち返した素晴らしいホームランだった。続いての打席でも、カーブを引き付けて、センターへ本塁打。清宮自身、これまで、センター方向への打球と本塁打を打った感触がなくてもスタンドに運べるパワーを求めていたが、通算81号目はまさにそんな本塁打となった。
この2発で勢いに乗った清宮は、準決勝の国士舘戦でも、左投手からの超特大の82号本塁打。さらに、決勝の日大三戦を迎えた。8回裏、ライトへの高校通算83号本塁打、そして9回裏には高めのスライダーを捉えて、左中間上段へもっていく特大の高校通算84号本塁打を打った。この時の清宮は、技術的に大きく成長。一番変わったのは右肩の動きで、調子が悪いと、スイングに入るとき、右肩の開きが早くなる傾向があるが、調子を取り戻してからの清宮は開きが遅くなり、なおかつ、ギリギリまでボールを呼び込んで縦軌道のスイングで、角度ある打球を飛ばすことができていた。この状態となれば、敵なしである。そして都大会優勝を収めた後、清宮はGW期間中で本塁打を量産し、高校通算92号まで伸ばした。そして13日から行われた熊本との招待試合。
前日の雨が心配されたが、無事に開催された。清宮を見ようと、多くのファンが詰めかけ、13日の県営八代野球場では3000人、14日の藤崎台県営球場では7000人と多数のファンが詰めかけた。対戦した文徳、八代、秀岳館の選手たちからも「こんなに人が入った中でプレーするのは初めてです」という声が聞かれた。そして13日、八代戦の第1打席だった。八代の右腕・緒方空澄から真ん中寄りの直球を振り抜いた打球は弾丸ライナーで場外へ消える本塁打に。清宮は「打ったのは真ん中寄りの直球。良い感じで振り抜くことができて、1試合目は打てなくて、嫌な流れだったので、1球で仕留めることができて満足いく当たりだったと思います」と振り返った。この本塁打には県営八代野球場の球場係員も「あんな本塁打見たことないよ!」と目を丸くした。本塁打はこの1本に終わったが、それでも熊本の高校野球ファンを喜ばせる一発となった。
打たれた緒方は「打席に立った瞬間から、どこに投げても打たれる雰囲気が漂っていました。インコースを思いきり攻めようと思ったのですが、投げた瞬間、抜けてしまい、これはもういかれる...と思ったら、本塁打でした」とお手上げの様子だった。
20日から開幕する関東大会。早稲田実業は花咲徳栄との初戦(21日・ひたちなか球場)を迎える。多くのファンが詰めかける中、清宮は再びアーチを重ねることができるのか?関東大会でも主役に相応しい活躍を見せていきたい。
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