正木智也(慶応義塾)

 慶應義塾の正木 智也。ここまで高校通算41号本塁打を放っている大型スラッガーである。昨夏、準々決勝の東海大相模戦で2本塁打を放ち、大ブレイクを果たした男は最後の夏へ向けて着々を準備を固めている。

速球投手に対応するために取り組んだこと

 昨秋、関東大会準々決勝で敗れた慶應義塾。正木は、「ライト方向へ本塁打が打てる打者」になるために、巨人の坂本 勇人、長野久義、阿部慎之助の打撃動画を見ながら、フォーム修正。右方向へ打つときのポイントは「おっつけながら強いスイングをすることです。自分はインコースも、アウトコースも、強くスイングをしていきたいと思いますので、それができるように練習に取り組みました」 この取り組みは奏功し、地区予選の秀英戦では右中間へ本塁打を打つなど、真価を見せてきた。

 二季連続の関東大会出場を目指して臨んだ県大会だったが、準々決勝で星槎国際湘南に敗れ、関東大会進出を逃した。正木はこの試合で最速145キロを計測した本田相手に適時打を打ったが、最後の打席では凡退に終わり、準々決勝敗退。本田との対戦を終えて正木は「夏へ向けて速球投手の速球の対応、速球投手は変化球の速度も速いので、その対応が課題として残りました」と振り返る。

 そこで、正木が取り組んだのはタイミングの取り方を変えたことである。「140キロ台を投げ込む投手の速球、変化球を対応するために足の上げ方を変えました。左足を上げた時に、少し間を置くことを意識しています」県大会後からの取り組みは奏功し、GW期間の練習試合では、成章戦で高校通算40号本塁打を放つなど、好調をキープして招待試合に臨んだ。まず秀岳館戦では、5打数3安打の活躍。エース・田浦 文丸からも2安打を打つ活躍。「左腕投手の速球に対応することができて、良かったです」とコメント。招待試合2日目では、文徳戦では、無安打に終わったが、149キロ右腕・山口 翔(熊本工)と対戦。山口との対戦について、「神奈川大会へ向けて良い練習となると思いますし、本当に熊本の招待試合はワクワクしながら、打撃に入ることができています」と語るように、山口に対しては豪快なスイング。第2打席まで凡退だったが、第3打席が甘く入ったストレートを見逃さず左前安打にするなど、この2日間はしっかりと活躍を見せた。 この2日間の合計は、14打数4安打とトータルだと、満足できるような活躍ではなかったが、秀岳館・田浦、熊本工・山口といった全国レベルの投手に安打を打ったことは、大きな自信となった。

 引き続き夏の大会へ向けて、速球投手にも対応できる技術をしっかりと固め、昨夏、あと一歩で甲子園を逃した悔しさを糧に、この夏も神奈川の主役となる。

(文=河嶋 宗一)