萩尾匡也(文徳)

 野村 大樹(早稲田実業)、小園 海斗(報徳学園)、横川 凱(大阪桐蔭)を中心に逸材が揃うミレニアム世代。熊本からもミレニアム世代の大物候補が登場した。その名は萩尾 匡也(文徳)。1年夏から4番に座り、先日まで行われたRKK招待試合で、満塁本塁打を打った。全国区の強打者になるために、これまでの歩みと今後の課題を語ってもらった。

指揮官待望の一発が飛び出す

 北熊本ボーイズから文徳に進んだ萩尾。入学から、179センチ85キロと恵まれた体格、類まれな長打力を買われて1年夏から4番として起用された。起用理由について、文徳の平井洋介監督は、「本当に飛ばす能力は入学時から長けていましたので、今後の期待を込めて起用しました」と語る。

 1年夏。4番レフトで出場した萩尾は、3試合出場し、6打数1安打に終わっている。萩尾は課題となった確実性向上のため、バットの軌道をいかに水平にして、ボールを捉えることにこだわってきた。そして冬、「結構ぽっちゃり体型だったので、これ以上ないぐらい走ってきましたし、そしてウエイトトレーニングもチームでやるので、しっかりとトレーニングをしてきました」

 現在は179センチ84キロだが、筋肉質の体型となった。飛距離に自信がある萩尾がベストホームランと語ったのが、この春の都城(宮崎)との練習試合で放った本塁打だ。「相手校のグラウンドで、バックスクリーンへ飛び込む本塁打だったんです。本当によく飛んでくれて、バックスクリーンの本塁打は初めてだったので、自信となりました」

 この本塁打をきっかけに、春は4番打者として活躍。県大会優勝に貢献し、チームの中心選手へ成長した。迎えた招待試合。まず早稲田実業との試合では詰まりながらも中前適時打を打ち、そして慶應義塾戦。1回裏、無死満塁のチャンスで、打席に立った萩尾。打ったのは初球だった。振り抜いた打球はレフトスタンドへ消える満塁本塁打となった。平井監督は「当たってくれれば本当に飛ぶ選手なんです。我慢して使った甲斐がありました」と喜びを見せ、萩尾も「とにかくつなぐつもりで打席に入ったのですが、入ってくれてよかったです」と笑顔を見せた。

 しかし第2打席以降は凡退に終わった。「バットが遠回りして捉える形になってミスショットしてしまった」と悔やんだ。 だが、招待試合で得たものは多かった。まずは熊本県ではなかなかいないハイレベルな投手と対戦できたこと。そして、早稲田実業の清宮 幸太郎、野村大樹といったスラッガーを生で見られたのは萩尾にとって良い経験となった。特に刺激を受けたのは野村の打撃だ。

「野村君は、全国であれほど注目される中でも、結果を残しているのは凄いですし、テクニックもすごいです。本当に自分はまだまだな選手ですけど、夏では確実性向上をテーマにやっていきたいです」謙虚に自分の課題を述べた萩尾。

 全国区の強打者、そしてミレニアム世代を代表する強打者へ、萩尾は慶應義塾戦の満塁本塁打を飛躍のきっかけにする。

(文=河嶋 宗一)