野球選手として心がけたい学校生活とコンディショニング
こんにちは、アスレティックトレーナーの西村 典子です。
5月に入り、暖かい日が多くなりました。公式戦を戦っているチームはもちろんですが、春の大会が終わったチームも練習試合など実践的な練習を多く積んでいることと思います。また新入生は学校生活にも慣れた頃でしょうか。今回は日常生活、特に学校生活において野球選手として心がけたいコンディショニングについて、時系列に沿ってお話をしたいと思います。時間は目安ですので皆さんの時間に置き換えて考えてみてください。
授業を受ける姿勢が崩れると野球のプレーにも影響を及ぼす
【起床〜学校へ(6:00〜8:30)】 睡眠時間を確保することは体調管理の上で欠かせないものです。またさらにレベルアップをはかるためには睡眠の質にもこだわっていきたいですよね。熟睡すると意外と目覚めはスッキリするものですが、朝起きたときはまず部屋のカーテンを開けて、外の光を取り入れるようにしましょう。光を感じることで身体が朝を認識し、体内時計のズレを調整します。このときに軽く背伸びをしたり、ベッドの上などでゆっくりストレッチをしてかたまった身体をほぐすようにするといいですね。眠いからといって二度寝をして、朝食を食べ損ねた…ということのないようにしましょう。
朝食をとり(ご飯やパンなどの炭水化物、肉類、魚類、卵などのタンパク質、ビタミン・ミネラルを含む野菜や果物、乳製品などバランスよく!)、出かける準備をしたら学校へ。移動手段は電車、自転車、徒歩などさまざまですが時間に余裕を持って出かけましょう。朝練がある場合は練習後の補食なども準備しておき、汗で濡れたウエアを着替えて身体を冷やさないようにします。
【午前の授業時間(8:30〜12:30)】 授業時間はしっかりと集中できるように姿勢良く授業を受けましょう。足を組んだ状態でいると左右のバランスが崩れ、腰痛や膝痛の原因となったり、重心の位置が微妙にずれて身体のゆがみにつながったりします。こうした小さな行動がバッティングやピッチングのフォームに影響を及ぼすことがあることを理解しておきましょう。「膝を閉じて足裏を床につけて座る」「お尻の出っ張りの部分(坐骨)に左右均等に力がかかるようにする」ことを意識すると自然と背筋が伸びるようになります。足を前に投げ出しやすい人は足台などを準備すると姿勢良く過ごすことができます。
また「たくさん食べて身体を大きくしたい」「お腹が空いた…」という選手は1限目と2限目の間に補食を取ることもよいでしょう。その際にはエネルギー源となる炭水化物と飲み物などを軽めにとり(およそ250kcalを目安に)、昼食に支障が出ない程度にとどめておきます。手軽に食べられるバナナなどもおすすめです。
お昼休み〜帰宅部活動を充実させるための学校生活を送るようにしよう
【お昼休みと午後の授業時間(12:30〜15:30)】 お昼休みは午後からの活動に備えて、昼食でエネルギー源の確保をメインとして食べるようにします。バランスのよい食事が理想的ですが、昼食はどうしても丼物や麺類など炭水化物を中心としたものになりがちです。野菜や果物、チーズやヨーグルトなどの乳製品を一品加えるだけでも栄養バランスが改善されますので、丼物や麺類などを単品ではなく、他の副菜とあわせてとるようにしましょう。食べた後に強い眠気を経験したことのある選手も多いと思いますが、眠気対策としては「昼食をよく噛んで脳を刺激しながら食べる」「食後にガムを噛む」「膨満感を感じない程度の食事量にとどめ、練習前の補食で補う」「昼食後に10〜15分程度昼寝をとる」ことなどを意識してみましょう。正しい姿勢で授業を受けるということも眠気対策に効果的です。
授業が終わって部活動が始まるまでの短い時間に、エネルギー源を確保するための補食をとり、着替えなどを済ませてグランドに出るようにします。全体でのウォームアップ時間がさほど長く取れないチームも多いので、特にケガや不安な部位を抱えている選手は軽くジョギングなどで身体を温め、ストレッチをして準備のための時間をより多く取るように心がけましょう。
【練習後〜帰宅(19:00〜21:00)】 練習後は身体の疲労回復のためにクールダウンを行うようにしましょう。日中と違って夜は肌寒い日も多いので、もしこのタイミングで時間が取れない場合は帰宅後、入浴して身体が温まっているときにストレッチなどを行っても構いません。学校から自宅まで距離があって通学時間が1時間を超えるような場合は、軽めに補食などをとってから帰るようにすると空腹でつらい、といったこともなく過ごすことができます。このときの補食も夕食に支障が出ない程度のカロリーにとどめておき、夕食では身体をつくるための栄養素となるタンパク質を中心に食べるように心がけましょう。
【学校生活とコンディショニング】●朝は起床と同時にカーテンをあけて屋外の光を浴び、体内時計を修正する●二度寝をせず、朝食は必ず食べるようにする(バランスよく!)●授業中の姿勢にも気を配ろう。足を組まず、足の裏を床につけて背筋を伸ばすことを意識する●たびたび登場する補食のタイミングはメインの食事に影響を及ぼさない程度にとどめること●午後はどうしても眠くなりやすい。食事をしっかり噛むことや昼寝などもうまく活用しよう●学校から自宅までの通学時間が1時間を超える場合は夕食前にも補食をとろう
(文=西村 典子)
次回コラム公開は5月30日を予定しております。
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