大阪桐蔭vs大体大浪商
公式戦の登板は選抜決勝以来。1ヶ月半ぶりに大阪桐蔭のエース・徳山 壮磨(3年)が先発マウンドに上がった。結果は9回3失点で完投。チームを2年ぶり10度目の優勝に導いた。
「選抜であれだけ投げたら普通はどこか故障するものですが、徳山には全くなかった。1ヶ月じっくり体作りと投げ込みをして、実戦は紅白戦の3イニングぐらいですが最後まで投げ切れたのは大収穫。他のピッチャーも準備させてましたが、強弱つけながらピッチングして代える必要がなかった」エースの力投を西谷浩一監督も讃えた。
柔軟性に富む徳山は選抜後も疲労を感じることもなく、すぐにでも投げられる状態だったという。それでも大会終了後はウエイトトレーニングなどでもう一度体を作り直した。「軸がしっかりしてバランスが良くなった。スピードより球質やキレという面でアップしたと思います。決勝を任されたので9回まで投げ切るつもりでした」と成長を実感。
マスクをかぶった福井 章吾(3年)も「甲子園を経験して自信が出てる。ランナーをスコアリングポジションに背負ってから変化球で腕振ったり、力を入れて投げていた」
徳山は4点リードの8回、二死走者なしからセンター前に安打を打たれた時、グラブを差し出し打球が抜けると悔しそうな表情を浮かべ、二死一、二塁から大体大浪商の5番・田中滉大(3年)の放ったピッチャーライナーは好反応でグラブに収める。この時、走者はスタートしており抜けていれば失点確実だった。大阪桐蔭のエースは投げた後も1球に対する集中力を切らさない。
徳山が体作りに励む間、大会を通じて横川 凱(2年)、柿木 蓮(2年)と下級生が経験を積み、投手陣は厚みが増した。また、左手首を骨折し選抜ではベンチを外れた正捕手・岩本 久重(3年)が復帰間近。この日も記録員としてのベンチ入りだったが西谷監督によると守備面では全く問題なく、打撃でもフリーバッティングまではすでに再開済み。2週間後の近畿大会には出場出来る見込みだという。
さらにこの日は選抜で4番を務めた山本ダンテ武蔵(3年)が練習中の怪我で欠場。主力を欠いてもその影響を感じさせず、大阪を制するだけの強さがある。岩本に代わって捕手を務めた福井はキャプテンと副キャプテンのポジション争いがチームの強化につながると歓迎する一方、「夏も絶対、2番をつけてやるっていう気持ちあります」と譲るつもりは全く無い。
大阪大会を勝ち抜くのは甲子園以上に難しい、そう感じさせる試合の多かった今大会だが、大阪桐蔭ではレギュラー争い、ベンチ争いがどこよりも激しい。普通なら近畿大会は夏へ向けての貴重な経験、となるところだが大阪桐蔭では生き残りをかけたアピールの場だ。
(文・写真=小中 翔太)
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