浪速の新スラッガー現る!この春、中田・清原に並んだ中野翔哉(興国)に注目!
今春、大阪から府内屈指のスラッガーが登場した。その名は中野 翔哉(興國)。春の府大会で5本塁打を放っており、中田 翔、清原和博に並ぶ春季大会最多本塁打を記録。一気に急浮上したスラッガーに迫る。
待ちの姿勢から積極的に打つ姿勢に交野リトルシニア時代、第20回全国選抜大会でベスト8入りするなど、中学時代から高い実績を誇る中野。下級生の時から長打力を武器に活躍を見せ、昨年から監督を務める田中監督も、「能力は高く、2年生の時からクリーンナップを打たせていました」と語る。田中監督が忘れられない一発として挙げてくれたのが、昨年、東邦との練習試合でプロ入りした藤嶋 健人(中日)から打った本塁打だ。「あの藤嶋から弾丸ライナーで打ち込んだですよ。あれは今でも忘れられないですし、こいつはすごいと思いました」昨夏は5番ファーストでスタメン出場したが、2試合で5打数1安打。昨秋は大阪商大高に4回戦で敗れ、目立った実績を残していなかった。
この冬、フルスイングができる選手になるために、1日1時間素振りを日課として取り入れた。数は気にせず、強く振り続けることにこだわった。
さらにキレのあるプレーを求め、減量にも取り組み、98キロから93キロと5キロの減量に成功した。 そして打撃開花は1人の指導者の存在が大きかった。それがこの4月から興国のコーチに就任した喜多隆志氏だ。高校時代は、智辯和歌山の主力打者として1997年夏の優勝に貢献。今年の3月まで智辯和歌山のコーチとして、強打の智辯和歌山を支えた喜多コーチは中野を見てこうアドバイスした。「初球から思い切っていけ!ということですね。中野ですが、素質的なものは素晴らしいものがあります。ただ性格上、打撃も、守備も、「待ち」のタイプで、結構初球から甘い球を見逃してしまうことが見られました。だけど、凡打でもいいから、とにかく初球から打つこと。初球から打てるための打撃練習を繰り返し行ってきました」4月に入ってから中野は、初球で仕留めることをテーマに打撃練習に臨んだ。すると、1回戦の浪速戦から本塁打を連発。なんと4試合で5本塁打を打ち、一躍、大阪府を代表するスラッガーへ成長したのだ。
ベスト8をかけた上宮太子戦では第2打席で、フェンス直撃の三塁打。この当たりにスタンドにいる高校野球ファンは「6本目か?」と期待するほどの当たりだった。しかしこの1安打に終わり、チームも1対3で敗れた。 試合を振り返って中野は「上宮太子の森田君は、外だけではなく、内の揺さぶりも使ってきて、さすがだなと思いました。好投手や、多彩な攻めに対応できないといけないと痛感しました」対応力向上をテーマに掲げた。この活躍で、夏まで注目度が高まることだろう。「春は打ちましたけど、マークも厳しくなるので、そう簡単にはいかないと思います」と語る喜多コーチ。中野もマークが厳しくなることを自覚している。 1968年には甲子園優勝した経験がある興國。古豪復活をかけ、夏も、大会記録に迫る本塁打を量産し、勝利に多く貢献する。
(文=河嶋 宗一)