九産大九州が一気呵成の攻撃で快勝!目指すは16年ぶりの夏の甲子園!堀内尊史(九産大九州)の勝負を分けたプッシュバント

「サインは送りバントでした」と、九産大九州の森崎哲哉監督は説明してくれた。相手の虚を突くようにプッシュせよ!とのサインではなく、通常の送りバントであったが、9番堀内尊史自身がやった結果は、試合を一気にひっくり返すほどの大きなプッシュバントだった。

 1点を先制された九産大九州は3回表、先頭打者が四球を選ぶと9番堀内尊史は一、二塁間へ絶妙なプッシュバント。これが、佐賀北バッテリーと野手陣のリズムを狂わせた。トップに返って藤井慧がセンター前へ運び同点。その後、リードを広げた二塁走者をけん制したキャッチャーからの送球がセンターへ逸れる間に逆転。佐々木啓太がサードの頭を越えるヒットで続くと、4番権藤彩斗がレフト前へ運び3点目。死球後、相手のエラーで4点目、続けて5点目が入った。相手のエラーも重なったが、そこに一気に付け入る強さは「さすがは福岡県優勝校」と言うべきものでもあった。

 さらに九産大九州は6回、原田恒太朗がヒットで出塁すると犠打で送り、堀内尊史が今度は左中間を深々と破るタイムリー二塁打。中村圭吾にもタイムリーが飛び出し7点目。投げてはサウスポー・吉田龍ノ介が7安打4三振1四球で完投。

「1年生大会で0対3。昨年秋ではウチが先制したものの逆転され負けてしまった。」とは森崎監督。ライバル福岡大大濠の三浦投手を打ち負かさなければ、夏の切符は手に入らない。これまでの屈辱をナインは忘れたわけではないからこそ、春の優勝や九州大会での勝利に浮かれることはない。16年ぶりの夏の甲子園へ向けた、九産大九州の歩みはまだ始まったばかりだ。

(文・写真=當山 雅通)

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