六甲アイランドvs東播工
夏のシード権をかけた六甲アイランドvs東播工の一戦はまさに手に汗握る試合となった。接戦となったのは両エースの投球が素晴らしかったから。東播工のエース・十倉尚輝は、なかなか個性的な武器を持った投手であった。右腕から投げ込む直球は、常時130キロ〜135キロ前後と決して速くはないが、下半身を使った体重移動ができる投手で、ストレートのキレが素晴らしい。
ストレート以上に目を引いたのが、変化球の速度。ストレートの球速が130キロ台に対し、変化球は125キロ前後を計測する。おもな武器はカットボール、スプリットだ。打者の手元で変化するので、打ちにくい。しっかりと両コーナーへコントロールできているので、相当制度が高い球種だ。100キロ台のカーブをうまく織り交ぜることができており、かなり実戦力が高い右腕だといえるだろう。ストレートの球速が速くなり、変化球の速度も高まると、もっと見栄えする投手となるだろう。
しかし2回裏、エラーと犠打で一死三塁のチャンスを作られ、そのあとバッテリーミスの間に1点を先制される。
一方、六甲アイランドの先発・薗 卓哉（3年）もなかなかの好左腕であった。コンパクトなテークバックから振り下ろすストレートは常時125キロ〜132キロと高校生左腕としてはなかなか。変化球も120キロ前後のスライダー、カーブを器用に投げ分ける投手で、大崩れしないピッチングができる投手だ。さらにけん制も上手い選手なので、次のステージでも十分活躍できる可能性を持った左腕だ。
だが6回表、一死三塁から4番岩見の遊ゴロの間に1対1の同点に追いつかれる。
拮抗した投手戦はそして8回表、東播工は、1番山下が右中間を破る適時三塁打を放ち、2番亀川がストレートを打って左前適時打で2対1と勝ち越しに成功。9回裏も二死一塁まできた。ここで六甲アイランドは手を打つ。俊足の長野を送ると、4番森口が右中間を破る長打。長野は一気にホームインし、同点。ベンチ内は歓喜に沸く中、サヨナラにさせるために、森口にも代走。藤元を送る。ここで試合を一気に決めるために勝負に出た六甲アイランドベンチに、ここまでエースの薗が応える。薗は中前安打を放ち、藤元が本塁へ生還。見事、サヨナラ勝ち。六甲アイランドの采配に選手たちが応えた試合となった。
両チームのエースとも素晴らしい投手で、さらにそれにバックが応え、引き締まった好ゲームであった。
紙一重の差で六甲アイランドが夏のシード権を獲得した。
（文・写真＝河嶋 宗一）
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