奥村 燐をふたたび演じられる喜びを噛み締めて――『青の祓魔師 京都不浄王篇』岡本信彦インタビュー
2011年にTVアニメが放送、2012年に劇場アニメが公開され、現在、6年ぶりとなる待望のTVアニメ新シリーズが放送中の『青エク』こと『青の祓魔師』。本作で主人公・奥村 燐を演じる声優の岡本信彦は、「前シリーズ時に24歳だったのが、30歳になっちゃいました(笑)」と陽気に語る。本作をイメージした青の衣装で登場してくれた彼の“青エク愛”が垣間見えるインタビューをお楽しみあれ。

撮影/西村 康 取材・文/渡邉千智(スタジオ・ハードデラックス)

6年経ったからこそ見えてきた燐の姿がある



――現在放送中の『青の祓魔師 京都不浄王篇』は、6年ぶりのTVアニメ新シリーズですね。

実は、2012年の劇場版が終わった後、アニメのプロデューサーから「もしかしたら続編のアニメシリーズができるかも」とお話を聞いていたんです。ただ、「もしかしたらできるかも」というお話があがっても、それが100%実現するかと言われたら、残念ながらそうではないので、そのときは「できたらいいですよねぇ」くらいの感覚でした(笑)。

――それがまさかの実現と。

そうなんです! だから、新章をやることが決まったと聞いたときは「ウソ!?」って(笑)。もちろん、嬉しい気持ちでいっぱいだったんですが、アニメ業界の“あるある”を崩した驚きのほうが強かったですね。それだけ『青エク』が多くの方に愛されて、大きなパワーを持っている作品なんだなと実感しました。

――『青エク』が、ここまで多くの方に愛されている理由は何だと思いますか?

キャラクターたちが個性的なのはもちろんですが、ひとつひとつのシーンにドラマ的な重みがあるところかなと思います。原作を読んでいて、僕は、本当にキャラクターたちひとりひとりが“生きているな”と感じるんです。そのシーンを描くためにキャラクターたちが存在しているのではなく、キャラクターたちがこれまで歩んできた人生の結果、こういうシーンになるんだと感じられるというか。

――なるほど。

燐は主人公なので、いわゆる主人公らしい振る舞いや、カッコいいセリフもあるのですが、そこは燐の性格上(笑)、物語が予定調和には見えないというのも作品の魅力かなと思いますね。



――6年ぶりに燐を演じてみて、いかがですか?

燐は僕にとって、とても大事な役。だからこそ、また燐を演じられて嬉しい気持ちでいっぱいです。

――燐に対して抱く気持ちなどは変わりましたか?

今までは、単純にカッコいいなと思っていた部分もあったのですが、今回改めて原作を読み返したり、アフレコをしていたりして思うのは、「強い子」だなということ。魔神(サタン)の息子ということで、周囲の人に怖がられたり、辛く当たられたりするんですけど……。

――新シリーズも第1話から辛いシーンが続きますよね。魔神(サタン)の息子だという出自が周囲にバレてしまった燐と、距離を置こうとする候補生たちとの、京都に向かう新幹線の中での会話とか。

そう……でも、燐は自分から追いかけようとするんですよね。そういう彼の強さやたくましさはスゴいです。僕だったら、追いかけて傷つくくらいなら、孤独を選んでしまいそうなので(笑)。

――そういった燐の強さに気づくことができたのは、岡本さんが24歳から30歳になられたことも関係あるのでしょうか?

そうかもしれないです。6年のあいだの経験も踏まえて、燐に限らずですが、ここ最近では自分と上手く照らし合わせながら、演じるキャラクターのことを客観的に考えることが多くなりましたね。



「バカだからわかんねぇ」開き直れる強さがズルい!



――では、6年前と今とで、技術面の変化を感じることはありますか?

うーん……あっ、台本の読み方は少し変わったかなと思いますね。24歳のときは、僕のなかで燐は感覚的な人間という捉え方だったので、演じる際も感覚的に、ということを意識していたんです。

――具体的にはどのように?

台本の文字を見たまま何も考えずにとりあえずしゃべってみたり、原作の表情に合わせて自分もその表情でお芝居をしてみたり……とか。でも、いろんな作品でさまざまなキャラクターを演じさせていただくなかで、感覚的に演じるだけだと難しくなってきて。「なぜこのセリフを言っているんだろう」「どうしてこういう行動をとったのだろう」という、「なぜ」の部分がないと演じられなくなってきたんです。

――燐の発言や行動の理由を考えるように?

そうですね。ここは寂しい表情をしているけれど、それを気付かれないように声をちょっと張るのかな?とか、もしもの……ifの部分をけっこう考えるようになりました。でも、燐に関しては、最終的にはそういう理由付けをした演技を、何も考えずにできるようになるのが正解なのかなと思います。




――改めて、岡本さんが燐を魅力的だと思う部分はどんなところでしょうか?

したたかさとはまた違う「ズルいな」って思わせる“強さ”を持っているところですかね。“強さ”にもいろんな種類があると思うんですけど、「俺、バカだからわかんねぇ!」って開き直ることができる強さが、あらゆる“強さ”のなかで一番ズルいなと思っていて。燐の人たらしな面も含めて、そういう強さを持っているのはうらやましいですね。

――燐には性格が正反対の双子の弟・雪男(声/福山 潤)がいますが、岡本さんは燐と雪男、どちらに共感できますか?

共感の種類にもよりますが、見ていて「ホント大変だね……」と、可哀想に思えてきちゃうのは雪男かな(笑)。燐が「バカだからわかんねぇ!」って感じなので、雪男は、わかっていなくても「わかっているよ」って、しっかりしていないといけない感じがしますよね。

――ちなみに岡本さんは、ご兄弟はいらっしゃいますか?

いないんです、ひとりっ子で。兄弟、欲しかったですね。

――兄と弟、どちらが欲しかったですか?

うーん、難しいなぁ。昔はお兄ちゃんが欲しかったんですけど、なんでもおさがりになっちゃうかなと思うので、今は弟がいたらな…と。弟なら、いきなり「遊ぼう」って誘っても付き合ってくれそうですし(笑)。



京都弁のアクセントに苦戦!? 収録現場のウラ話



――ずばり、京都不浄王篇の見どころを教えてください。

今回はなんといっても親子の絆がテーマになっていると思うので、燐と雪男の育ての親・藤本獅郎(声/平田広明)と、勝呂竜士(声/中井和哉)の親・勝呂達磨(声/浦山 迅)のカッコよさに注目してほしいなと思います。「親の心、子知らず」みたいなものが随所に描かれているんですよね。

――とくに印象的なシーンはありますか?

第2話で、燐がスイカを切りながら達磨と話をするシーンが僕は好きで、燐が「(竜士と)仲直りしてぇんだ」と言ったときの達磨の表情とか笑い声はグッと来ちゃいました。

――岡本さんが気になるキャラクターというと? 1月5日の先行上映イベントでは、藤堂三郎太(声/山路和弘)と達磨の名前を挙げていましたが。

達磨は前作でも出ていたので、新キャラという意味だと一番は藤堂です。藤堂を演じている山路さんが、とにかく素敵な役者さんなんです!

――山路さんとはこれまでにも共演を?

外画の現場でしかご一緒したことがなかったのですが、外画のお仕事を通して勝手に感じていた山路さんのお芝居の印象って、THE悪役なんですよね。日常生活のなかで簡単に嘘をつけちゃうような……コンビニに行く感覚で強盗をしちゃうような(笑)、底の見えない怖さを感じさせるお芝居をされる役者さんだなって。だから今回、アニメで初めて一緒になって、藤堂をどう演じるんだろう?と楽しみにしていたんです。

――山路さんのお芝居を間近で見られて、いかがでした?

第1話のAパートでの藤堂は、本性を隠した弱々しい姿なのですが、その弱々しい面と、それでも裏に何かがあるような面を絶妙なバランスで演じられていて。ただの悪人っていうのでなく、「日常」をいろんな視点から表現されるんですよね。




――新キャストも参加しているアフレコ現場の雰囲気はいかがでしょうか?

現場は、すごくいい空気感です。懐かしい雰囲気もあるし、6年前に一緒にやって、勝手を知っているメンバーも多いから、お互いに安心している感じはあります。仲間意識は強いと思います。僕、新シリーズの第1話のアフレコのとき、「みんな上手いな」って思ったんですよ(笑)。改めてスゴいメンバーが集まっているんだなと感じました。

――今回の舞台は京都なので、京都弁を話すキャラクターも多いですよね。役者さんたちは京都弁に奮闘されているとか。

はい。前作の収録でも、現場には京都弁をチェックしてくださる方がいらっしゃったんですが、今作ではチェックしてくださる方がさらに増えて、京都弁のアクセントを一言一句間違えちゃいけない空気みたいなものがひそかに漂っています(笑)。

――プレッシャーがスゴそうですね……!

梶くん(梶 裕貴/三輪子猫丸役)なんかは前作から……でも彼はむちゃくちゃ耳がいいので、今回は余裕そうな雰囲気も。あっ、いやいやいや、余裕そうとか言うと、梶くんに「そんなことないよ!!」って怒られちゃうのでやっぱりナシで!(笑)

――(笑)。

でも、すごく頑張って練習されていて、僕から見たら余裕そうに思えるくらいでした。今作からの新キャストのM・A・Oちゃん(宝生 蝮役)や、田中秀幸さん(志摩八百造役)も京都出身なのかなと思ってしまったくらい、京都弁を難なくクリアされていて、今回もとても素敵なキャストがそろったなと思います。

――主役の岡本さんは、そんなキャストのみなさんをひっぱっていく立場ですよね。

……僕は、甘えていこうかな〜という感じで(小声)。キャリアもあってとても頼りがいがある方が多いので、安心感に溢れています(笑)。




休日はアクティブに!「ゆっくりするのは50歳から」



――ここからは岡本さんのプライベートについてもお聞かせください。最近のマイブームは何ですか?

マイブームかぁ……あっ、最近はコーヒーにハマっています。コーヒーは奥深すぎて手を出さないようにしようと思っていたんですけど、ついに……。とくに好きなのは、ゴディバから出ているトリュフチョコレートの香りがするコーヒー。糖分が入っていなのに、チョコの香りがするんですよ。寝る前によく飲んでますね。

――お休みの日は何をして過ごすことが多いですか?

休みの日はあまり休みたくなくて、何かしらしていることが多いですね。

――たとえば?

卓球、スポッチャ、サバゲー……かな。休みの前の日は、何かお誘いあったかなとLINEをチェックして、友人と遊びに行くことが多いです。で、何もなかったときはAmazonプライム・ビデオで映画を観ています。あっ、Amazonプライム・ビデオでは、『青エク』シリーズの配信をしておりますので、ぜひご覧くださいね!!

――ご宣伝もありがとうございます(笑)。岡本さんからご友人をお誘いになることは?

僕から誘うこともけっこうありますよ。でも、日帰りで富士急ハイランドとか誘っても、みんな付き合ってくれないんですよね……。

――日帰りで富士急ハイランド!?

僕は日帰りでも行きたくて仕方ないんですけど、「次の日も休みじゃないと疲れるからイヤ」って言われてしまって。……でも、実は僕、先日も日帰りで行ってきたんです(笑)。

――なんとアクティブな…!

あははは。ひさびさに行ってすごく楽しかった。絶叫系が大好きなのでずっと乗っていたいくらいです! 動けるうちにいろんなところに遊びに行きたいので、ゆっくりするのは50歳くらいになってからにしようと思っています(笑)。



【プロフィール】
岡本信彦(おかもと・のぶひこ)/10月24日、東京都生まれ。B型。2008年のTVアニメ『PERSONA-trinity soul-』(神郷 慎役)などで注目を集め、2009年に第3回声優アワードで新人男優賞を受賞。主な出演作品に、『とある魔術の禁書目録』シリーズ(一方通行〈アクセラレータ〉役)、『ハイキュー!!』シリーズ(西谷 夕役)、『暗殺教室』(赤羽 業役)、『僕のヒーローアカデミア』(爆豪勝己役)など。Kiramuneレーベルにて、アーティストとしても活動中。


■TVアニメ『青の祓魔師 京都不浄王篇』
http://www.ao-ex.com/

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今回インタビューさせていただいた、岡本さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

■応募方法:ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT


■受付期間:2017年2月3日(金)12:00〜2月9日(木)12:00

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