「べっぴんさん」というより新春早々「じっとりさん」76話

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第14週「新春、想(おも)いあらたに」第76回 1月4日(水)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:新田真三


「明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」
すみれ(芳根京子)とさくら(粟野咲莉)の挨拶からはじまった「べっぴんさん」。
ときに昭和25年1月1日です。
ゆり(蓮佛美沙子)と潔(高良健吾)の新居ができて、子供・正太もかわいくて、キアリスの業績も良さそうで、明るい新年のはじまりと思いきや、とことん不穏なはじまりでびびった。
原因は男たちのいがみあい。
視聴率は19・3%(ビデオリサーチ調べ 関東地区)だったと早速日刊スポーツが報じている。

76話はこんな話


近江の長太郎(本田博太郎)と肇(松木賢三)、五十八(生瀬勝久)と潔が仕事のやり方で対立する様子を、
「老いては子に従え」、「人のふり見てわがふり直せ」などのことわざを交えながら描く。
さらに、近江の実家のお嫁さん・静子(三倉茉奈)がわざわざつくってくれたぜんざいを、さくらが、喜代(宮田圭子)のつくってくれたものと比べて、おいしくないと言い出して、すみれが烈火のごとく怒り、お正月の食卓があっちもこっちも気まずい空気になってしまう。

年のはじめの朝ドラは


暗い、辛気臭いと言われる「べっぴんさん」も折り返し、後半戦を迎えた。あと3ヶ月。
「べっぴんさん」の暗さ、辛気臭さは、叙情性であり、悪くないと支持しているが、さすがに年のはじめだからもう少し明るくはじめてほしいなあ・・・と思った76回。そこで、近年の朝ドラの新年第1回めを確認してみると・・・。

「あさが来た」78回  昭和12年。主人公あさ(波瑠)があまり出ず、奉公人の亀助(三宅弘城)とふゆ(清原果耶)のお話が中心という意外性。
「マッサン」79回 マッサン(玉山鉄二)のウイスキーづくりがうまくいかず、北海道に行っている間に、広島の母(泉ピン子)が危篤という電報が届く。
「ごちそうさん」79回  昭和7年。3人の子持ちになっため以子(杏)。娘のふ久が小さな大事件を起こす。
「純と愛」79回 なかなか決まらない仕事と、母親(森下愛子)がボケ始めたのではという心配が主人公(夏菜)を悩ませる。
「カーネーション」76回 昭和20年。終戦が来て、糸子(尾野真千子)はモンペを脱ぐ。

意外と行く先に暗雲が・・・という出だしだった。例外は、ここから新展開感がある「カーネーション」と、閑話休題みたいな「あさが来た」の2作。何にせよ、どれも、朝ドラのセオリーどおり登場人物たちが皆、明るくふるまっているので、暗い展開になってもあまり気にならない。ところが、「べっぴんさん」はどうも何があってもトーンが半音くらいダウンしてしっとりしてしまう。本田博太郎と生瀬勝久と曾我廼家文童と中村玉緒と山村紅葉は相当明るめなはずなのに。芳根京子のしっとりさん度は、これだけの名優たちの明るさすら陰にしてしまう力があるとしたら、それはもうしっとりさんどころかじっとりさんハイパーとして、見たことのない朝ドラをつくりあげてほしい。

今日のびっくりさん1


新居を建てたゆりと潔。それまで会社で寝泊まりしていた発言があった。クリスマスの夜もオフィスで過ごしていたから、まさか・・・とは思っていたが、本当にそうだったのか。そりゃあ家を建てたいと思うのも無理はない。

今日のびっくりさん2


「大奥様の、おな〜り〜」と忠さんに言われてた近江のスーパーおばあちゃん・トク子(中村玉緒)。一時期危篤だったが、家族でお伊勢参りに行くほど回復し、今回は、家族の手を借りずに温泉へ。お友達と行ったのかもしれないけれど、とにかく元気でなにより。
(木俣冬)