ルヴァンカップ準決勝・横浜戦で、8月20日以来のフル出場を果たした今野。随所で持ち味を発揮したが、「まだまだです」と納得していなかった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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[Jリーグ・ルヴァンカップ準決勝第1戦]
G大阪 0-0 横浜F・マリノス
2016年10月5日/市立吹田スタジアム

 ボランチで出場した今野泰幸が、8月20日のリーグ第2ステージ9節・神戸戦(●0-1)以来、久々にフル出場を果たした。前線からの果敢なプレスやインターセプトなど持ち味を随所で発揮。それでもホームでのスコアレスドローに一定の手応えを掴みつつも、悔しさを露わにした。
 
「(4日前の)浦和戦(●0-4)では、やられ放題やられてしまった。だからこの試合に向けたミーティングでは、『迫力を出して、前からプレスを仕掛けることにトライしよう』と、監督とみんなで確認し合って臨みました」
 
 今野が語ったその狙いどおり、序盤からG大阪が高い位置から相手ボールに襲い掛かっていった。ここ最近になく、プレーエリアがかなり前目に設定され、そのなかで今野もチームに推進力を与えていった。しかし――。
 
「後半途中からは、上手くハマらなくなってしまった。頑張ってはいたけれど……なかなかボールをキープして組み立てられなかった。それでも我慢しながら、勝ちたい気持ちを出して、惜しいチャンスも作れたのは良かった点に挙げられますが……」
 
 さらに今野は自身のプレーについても反省の言葉を並べた。
 
「今日も良くなかった。ボランチとして、もっと前にボールを出していきたかったし、決定機も作れなかった。ガンバペースに持っていく役割をできなかった」
 
 悔しさの詰まった言葉が続く。
 
「もちろん、俺ひとりだけの問題ではないとは思う。チームとして、何本もパスコースを作らせてしまっているのは事実。でも……そこでこそ、俺は持ち味を出して、先を読んでボールを奪い取らないといけない。さらに、そこからチャンスを作るところまでやらないといけない。だから、まだまだですよ」
 
 グッと上向いて行かないチーム状態。そこに、彼は責任を感じていた。
 
 とはいえ、アウェーゴールを与えずスコアレスドローに終えたことは、最低限の結果を残したと言える。11月9日の日産スタジアムでの準決勝第2戦にしっかり望みをつなげた。
 
「なにも終わっていない。ここから。気持ちを切らさず、次こそ勝ちます。なんとなく地味に効いているというのが俺なんで(笑)。地味に存在感を出していきますよ」
 
 試合終盤には強烈なミドルを放ったものの相手DFにブロックされた。もしかすると次戦あたり、そんな“地味な今野”の右足のショットがチームに目の覚めるような光をもたらし、チームを15日の決勝の舞台に導いてくれるかもしれない。
 
 
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)