G大阪戦でゲームをコントロールした柏木。写真:(C)SOCCER DIGEST

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[J1第2ステージ14節]浦和 4-0 G大阪/10月1日/埼玉
 
 勝敗を分けたポイントのひとつが、縦へのスピードだった。なかでも浦和の司令塔・柏木は自身がフリーの場面では安易な横パスではなく、相手が嫌がる縦方向のパスを必ず狙っていた。攻め急いでいるわけではなく、しっかりと状況を把握したうえでチャレンジのパスを意図的に出していたのだ。

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 「ちょっと裏に出すパスがね、合ってないというか」と本人は反省をしていたが、それでも“縦への意識”は十分にG大阪の脅威になっていた。この日の柏木が素晴らしかったのは、縦を意識しつつも相手に寄せられた局面では簡単に近くの味方に叩いていた点だ。
 
 次のコメントが、柏木の充実ぶりを如実に表わしている。
 
「今は落ち着いてプレーできている。怪我明けの時はしんどかったけど、それを乗り越えてまた良くなっている。周りも見えていますよ。簡単に叩くところは叩いたり、そういう使い分けができているし、コンディションは良いといっていい」(柏木)
 
 一方、G大阪の司令塔・遠藤は低調なパフォーマンスに終始した。センターサークル付近でボールを持っても浦和の素早いプレスに苦しみ、何度もボールを奪われていた。敵を惑わすような縦パスはなく、「(チームとして)守備ばかりしていた」。柏木との決定的な違いは、縦にボールを運べる局面でも意図的なチャレンジのパスが少なかったところだろう。
 
 遠藤が光ったのは、前半30分過ぎからボールの出どころである柏木を警戒して潰そうとしていたシーンくらい。攻撃面ではほとんど機能していなかった。もちろん、浦和に完敗したのは遠藤ひとりの責任ではないが、それにしてもこのベテランMFの出来は良くなかった。
 
 攻める浦和、受け身のG大阪。こうした構図ができたひとつの要因はゲームの組み立て役である柏木と遠藤の差と言っても、あながち間違いではないだろう。
 
 実際、先制点の場面でもゴール前で決定的な縦パスを出し、さらに武藤のゴール(チームの2点目)にも絡んでいた柏木に対し、遠藤はシュート0本のまま62分に途中交代している。
 
 浦和がG大阪を力でねじ伏せたゲームは、“日本代表の新旧司令塔”の明暗がくっきりと分かれた一戦でもあった。