「七五三」着物の選び方、ヘアメイク、撮影のポイントは? プロに聞いてみた!

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お子様が生まれると神社にお参りする機会が何度かあります。
最初が「初宮参り」次が「七五三」です。

七五三はいつやるべき? 混雑対策と準備のコツ

七五三は、お子様の成長を祝い、3歳(女の子)5歳(男の子)7歳(女の子)でお参りします。
家族で写真撮影や食事をすることも楽しみの一つです。

ただ、七五三の着物の選び方やヘアメイク、撮影に迷ったり、当日のアクシデントへの対応などを考えるとわからないことも多いですよね。

今回、そんな七五三の疑問について、それぞれの分野のプロ4人に、お話をお聞きしました。

着物を選ぶ時のポイント

[お話をうかがった人:着物専門家 富沢輝実子さん※以下富沢さん]

女の子(3歳)

身体が小さく華奢な時期。帯を締めるのがかなり負担になるので着物の上に帯はまかずに「お被布」を掛ける姿が好まれます。この時期にしか出来ない格好なのでオススメです。

色や柄はお母さまの好みで選んでよいと思いますが、しっかりした地色の方が写真になった時に見栄えがします。(白っぽい地色はぼんやりした印象に)

赤やピンクをベースに、白を含むカラフルな色使いで模様が染められているものや、絞り染めがとても可愛くなります。

重たいとお子様の負担になりますので軽いものにしましょう。

履物は撮影の時だけ「ぞうり」にして、神社への行きかえりは普段の履物にするとお子様がむずかりません。

男の子(5歳)

たいていは立派なフルセットの紋付羽織、袴姿が多いと思います。

日本の伝統大好き派は格調高い「富士山と鷹」「兜」「宝尽し」などから選ぶのがおススメです。

伝統よりモダン派はアニメのキャラクターやスポーツカーなどの模様から選ぶと良いと思います。

男の子も伝統的な雪駄(せった)がセットになっていると思いますが履きにくいので行きかえりは靴にするといいでしょう。

女の子(7歳)

少しおしゃれに興味が出てくる年頃。着物は見てすぐに「可愛い」と思えるものがおススメです。
地味な色柄、暗い色柄はなるべく避けた方が良いです。

模様は宝尽し、毬、薬玉、千羽鶴、波、扇、沢山の花や花束などがおススメです。

着物と帯は同色にしない方が可愛くなります。(例えば赤地の着物に赤い帯はNG)

おすすめの組み合わせ:朱色とひわ色(明るい緑)、水色と金、水色とオレンジ、ピンクと水色、ピンクと赤など。

ヘア・メイクのポイント

[お話をうかがった人:着付けヘアメイクのプロ 松原志津枝さん※以下松原さん]

女の子(3歳)

お母さまが普段してあげているヘアスタイル(ポニーテールや三つ編み)に大きなリボンや市販の飾りをつけるだけで可愛くなります。

髪の毛の短いお子様はぱっちんと止めるお花があります。

止めるだけでは滑って落ちやすいので髪を少しとって黒いゴムでくるくるっと巻きゴムのところにパチッと止めると滑りにくくなります。

メイクは口紅をちょっとつければOKです。

男の子(5歳)

いつも通りでOK!

女の子(7歳)

美容院で日本髪風のヘアスタイルにするのがベスト。

お直しは意外と簡単! 着崩れ対策

[お話をうかがった人:富沢さん・着付けの第一人者石山美津江さん※以下石山さん】

着物はだんだんと着崩れてくるもの。簡単にできるお直し方法を紹介します。

女の子(3歳)

被布を脱がせて着物の腰ひもを結びなおし被布をかければ上から見えないのでおすすめです。(話:富沢さん)

男の子(5歳)

男児の着物はおはしょりが無いため、めったに着崩れしません。
もし、袴を踏んで転んだら袴を腰の上に引き上げて、丈をくるぶしより短くし、紐を簡単に結びなおせば大丈夫。(富沢さん)

女の子(7歳)

この年頃の女の子は振袖が大好き。なかなか脱ぎたがりません。
腰紐がゆるいと裾が落ちてくるので、腰のしごき紐をとって腰紐を結びなおし上にしごき紐を重ねて整えれば大丈夫。(話:富沢さん)

また具体的に下記のようなシチュエーションになったらどうすればよいのでしょうか?

■★汚れてしまったら

シルクの着物を選ぶ場合は、防水・撥水加工をしてあるものを選ぶとよいでしょう。雨、食べこぼし、よだれなどで濡れてもさっと拭けばシミになりません。

ただし結構な汚れ方をした場合、シルク素材なら自分で手入れはせずにプロにお願いするのがいいです。合織ならご家庭でも洗えます。(話:富沢さん)

■★雨が降ったら

子どもの着物の裾を腰までまくって、帯や帯締めに挟み込み、準備してある携帯用のフード付きケープ(コート)を着せると良いでしょう。(話:石山さん)

自分で撮るなら!着物撮影のコツ

[お話をうかがった人:富沢さん、カメラマン 升谷玲子さん、宮川久さん※以下升谷さん、宮川さん]

着物は裾が開くと綺麗に見えないので風の当たる場所を避けて撮影すると良いでしょう。また日がかんかんと照っているところで撮影すると表情がしかめ面になる場合も多いので避けるといいです。(話:富沢さん) 3歳の場合、たくさん話しかけて、たくさんシャッターを切ります。(話:升谷さん) 着物姿が玉砂利に溶け込むので玉砂利の前は避けましょう。(話:宮川さん) お参りということが分かるように、神社の本殿の前や鳥居の前に立たせ、背景がぼやけるように少し遠くから撮ります。(話:宮川さん) 3歳、5歳のお子様には「好きな動物な〜に?」など好きなものを聞き、例えばキリン、と答えた場合、続けてどういうところが好きなの?と会話を続けながら撮影すると良いでしょう。※なんでも続けるとうまくいきます!(話:宮川さん)

親の装いはどうしたらいい?

洋服で構いません。現在ではご両親、祖父母とも洋服の方が断然多数派です。

ただ、記念写真に着物姿の方が入っていると少しだけ重厚感と特別感がでるので、もしお母さまも着物に興味があればこの機会に着てみてもいいかもしれないですね。(話:富沢さん)

■お話を伺った人

富沢輝実子(とみざわ・きみこ)【着物専門家】
老舗出版社キモノ専門誌で40年の編集経験。副編集長を経て現在「染織・絹文化研究家」として執筆、大学やカルチャーセンターなどで授業を行う傍ら、海外国内ともに講演、デモンストレーションを行う。

石山美津江(いしやま・みつえ)【着付け専門】
様々な女性誌、テレビで活躍する和装着付け第一人者。政財界の著名な婦人方や女優など多くの方々の着付けを担当。着付け教授も行う。

松原志津枝(まつばら・しずえ)【着付け・ヘアメイク専門】
様々な有名女優のヘア・メイクを多く手掛け、雑誌やテレビ、映画、CM]などで活躍中。海外でのデモンストレーションも行う。

升谷玲子(ますたに・れいこ)【カメラマン】
高級女性誌を中心に活躍中。雑誌の表紙なども手掛ける。静物写真を得意とするが旅もの、食もの、ファミリー写真も得意。

宮川久(みやかわ・ひさし)【カメラマン】
様々な女性誌を中心に着物だけでなく、伝統芸能、ファッション、料理、旅行など幅広いテーマで活躍。光の捉え方、一瞬の表情の捉え方が抜群に上手と定評がある。また多くの海外取材をこなす。