中世では魔女の住む山として認知されてきたドイツ、ハルツ山地。

今でもハルツ地方の各地には様々な魔女伝説が残っており、街では魔女の人形などもお土産として販売されています。

数ある伝説の中でも有名なのが、ブロッケン山頂で魔女が集会をするという伝説です。

年に一度、4月30日の夜に魔女が集まり饗宴をするという「ヴァルプルギスの夜」伝説はヨーロッパ各地に残っており、今でもこの日には各地で大規模なお祭りが開かれます。

ドイツにおけるヴァルプルギスの夜はブロッケン山頂で行われる祭りのことを指し、魔女の祭りの様子はゲーテの「ファウスト」にも登場するのです。

そんな伝説が残るブロッケン山頂へは、なんとSLに乗って行くことができます。

SLの始発駅はヴェルニゲローデですが、途中駅から乗車することも可能です。

ヴェルニゲローデからブロッケン山頂へは1時間半ほどの道のりです。レトロなSLの内装は車両ごとに違います。

出発すると時折汽笛を鳴らしながら初めは街の中を走っていきますが、やがて高度を上げてハルツ国立公園の中に入っていきます。途中で車掌さんがハルツ地方のお酒を売りにやってきますよ。

その後はしばらく森の中を走っていき、やがて山頂に近づいてくると視界が開け、なだらかな美しい山々が見えます。

山頂へ到着すると、天気が良ければそこからは360度の大パノラマが望めます。1年のうち約300日は霧に覆われているというブロッケン。1141メートルと標高はそれほど高くありませんが、そこからの景色はまさに息をのむほどの絶景です。

また晴れているときは日差しがとても強いので、日焼け対策はしっかりした方が安心です。

現在はSLの運行とともに人気を集めているブロッケンですが、東西ドイツ統一前には一般人は立ち入る事の出来ない場所でした。この山はスパイ、監視活動の為に使われ、山頂には旧ソ連と旧東ドイツによってそれぞれ盗聴の為の設備が建てられていたのです。

現在この場所にはテレビ塔、ホテル、博物館などが建ち、観光客で賑わう場所になっています。

また山頂では小一時間ほどハイキングを楽しむこともできます。どこまでも広がるハルツ山地の山々を眺めながらのハイキングはとても気持ちが良いです。山頂に留まらなくても、SLが通る途中駅までハイキングをしながら下っていくことも可能です。実際にSLからは線路脇のコースを歩いている人を大勢見かけます。

魔女伝説が残り、古くから神秘の山として語り継がれてきたブロッケン。

そこまでのSLでの旅や山頂からの絶景は、忘れれられない旅の思い出になることでしょう。

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