常総学院vs明秀学園日立
茨城大会決勝は第1シード・常総学院とノーシード・明秀学園日立のカードとなった。
常総学院は初戦の土浦湖北では2対0の接戦となったが、その後は打線が勢い付きチーム打率.333、5試合で38得点と大量点で勝ち上がった。
対する明秀学園日立は、1回戦の古河三戦（延長10回、糸野のサヨナラホームラン）、2回戦の石岡一戦と、序盤戦を苦しみながらも1点差で制した。チーム打率こそ.260と低いが、本塁打数はサヨナラ1本を含む5本。準々決勝の水城戦、準決勝の霞ヶ浦では細川の先制アーチが飛び出すなど、一発が決めてとなって決勝まで勝ち上がっている。
常総学院の先発は背番号1のエース左腕・鈴木 昭汰（土浦霞ヶ浦ボーイズ、U18代表候補）。ここまで2試合に登板し、10イニングを無失点に抑えている。登板回数が少なく、この日の動きは軽快だ。
対する明秀学園日立は大黒柱のエース右腕・細川 成也（いわきシニア）だ。ここまで6試合全てに登板し、39・1/3イニングを自責点1という驚異的な内容で屋台骨を支える。今大会、投球数が多く疲労具合いが投球にどう影響するかが気がかりではある。
また、4番の細川は準決勝・霞ヶ浦戦で高校通算63本塁打をマーク。3番の糸野 雄星（和歌山キングタイガース）は4回戦・つくば国際大東風戦で高校通算47本塁打をマークしており、常総学院・鈴木 昭汰と並ぶプロ注目選手同士の対戦がこの試合の見どころの一つだ。。
シートノックの直前までは小雨が降っていたが試合開始前には止み、心配された天気も持ちこたえた。
2回裏、常総学院が先手を取る。
一死から5番・鈴木 昭汰がライト前ヒットで出塁。二死となりカウント0ボール1ストライクから盗塁を成功させ二死二塁。ここで7番・有村 恒汰がライト線ツーベースを放ち1点を先制する。なおも二死二塁とチャンスは続くが、8番・中村 迅はセカンドフライに倒れる。
4回表、明秀学園日立は一死から2番・秋山魁斗がチーム初ヒットを放つが、3番・糸野 雄星、4番・細川 成也は連続三振に取られスコアリングポジションにランナーを進めることができない。
4回裏、常総学院は一死から4番・花輪 直輝がセカンドへの内野安打で出塁するが、5番・鈴木昭はサードファールフライ、6番・清水 風馬はレフトフライに倒れる。
5回表、明秀学園日立は初めてチャンスを作る。
二死から7番・庵原晃太がセンターへのツーベースヒットで二死二塁。しかし、続く8番・磯貝大輔は空振り三振に倒れる。
5回裏、常総学院は一死から8番・中村がライト線ツーベースヒットで出塁するが、9番・鈴木 海斗は空振り三振、1番・陶山 勇軌（2年）はピッチャーゴロに倒れ追加点が奪えない。
5回を終了し、常総学院・鈴木 昭汰は被安打2、奪三振9、無四球。明秀学園日立・細川 成也は被安打4、奪三振1、こちらも無四球という両者とも素晴らしい投球内容だ。
6回表、明秀学園日立は連打からチャンスを作る。
一死から4番・森下 慶四郎がセンター前ヒット、2番・秋山もセンター前ヒットと続き一死一、二塁のチャンスを作ると、3番・糸野の深めのレフトフライの間に二走・森下がタッチアップで三塁を落とし入れ二死一、三塁とする。しかし、4番・細川はセカンドフライに倒れる。
7回表、明秀学園日立は先頭の5番・芳賀大成（1年）がレフト前ヒットで出塁し、代走に背番号10の橋本宝が送られる。続く6番・若松 祐斗（2年）はキャッチャー手前に転がるバントを決めるが、これが一塁への悪送球となり無死一、二塁とする。
続く7番・庵原も送りバント試みるが、ピッチャー・鈴木昭の好フィールディングにより三塁封殺。併殺により二死二塁と変わり、8番・磯貝はセカンドゴロに倒れて1点が奪えない。
ピンチを凌いだ常総学院は7回裏にチャンスが到来する。
一死から7番・有村がセンター前ヒットで出塁し、盗塁と進塁打で二死三塁とする。しかし、9番途中交代・荒 祐広は空振り三振に倒れて追加点を挙げることができない。
8回表、明秀学園日立は先頭の9番・内田智也が左中間へのツーベースヒットで出塁し、1番・森下が送って一死三塁という決定的なチャンスを作る。続く2番・秋山はカウント1ボールから2球目にスクイズを仕掛ける。しかし、外に外された球を空振り。ランナーは飛び出しており、キャッチャーは三塁に送球するが、送球とランナーが重なり三塁手が捕球できずにボールはレフトまで到達する。それを見たランナーは本塁に突進するがバックアップに入ったレフト・石川 大の好返球により本塁は間一髪タッチアウト。一死三塁のチャンスは二死無走者となり、2番・秋山は空振り三振に倒れる。
8回裏、常総学院は先頭の1番・陶山がセンター前ヒットで出塁し、送って一死二塁とするが、3番・宮里 豊汰（2年）は空振り三振。4番・花輪はショートゴロに倒れて追加点は奪えない。
1点差で迎える9回表、明秀学園日立は打順良く3番・糸野からの攻撃となるが、三者凡退に倒れ試合終了となる。
常総学院が息詰まる投手戦の中、少ないチャンスをものにし、1対0で勝利。3年ぶり16度目の優勝を果たし、春夏連続の甲子園出場を決めた。
エース左腕・鈴木 昭汰は被安打6、11奪三振、無四球で完封勝利。打ってはチーム初ヒットと盗塁から自らがホームを踏み勝利を掴んだ。
打撃陣では今大会打率1割台と不調に陥って下位打線に並んだ有村 恒汰と中村 迅が奮起。有村は決勝点となるタイムリーツーベースを放ち勝利に貢献した。
明秀学園日立のエース右腕・細川 成也は、決勝でも1点しか許さず、こちらも無四球で非の打ち所がない投球内容だった。
終盤の1点をめぐる攻防は、今後の茨城の覇権をめぐる攻防であるようにも見え、非常に見応えのある試合であった。
茨城100チームの代表である常総学院の、甲子園での躍進に期待したい。
（文＝伊達 康）
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