パリに行ったら必見なのが、世界でもっとも美しい劇場の一つであるオペラ座、「パレ・ガルニエ」。

もはや単なる劇場の範疇にはとどまらず、宮殿のように豪華絢爛な内部はまるで夢の世界。小説をもとにした超有名ミュージカル「オペラ座の怪人」の舞台となった場所でもあります。

現在パリには2つのオペラ座があり、旧オペラ座であるパレ・ガルニエはデパートなどが立ち並ぶ活気に満ちたオペラ地区にあります。

その豪華絢爛な姿を一目見ようと多くの観光客が訪れますが、オペラ座としてもいまだ現役。

19世紀後半、ナポレオン3世が大規模なパリの都市開発を打ち出し、この地区でのオペラ座建設が命じられました。パレ・ガルニエの建設にあたっては建築コンペが行われ、171の公募作のなかから選ばれたのが当時わずか35歳という若さだったシャルル・ガルニエのデザインでした。

シャルル・ガルニエがこれまでにない新しい建築様式を創造しようと意欲を燃やしたオペラ座は1875年に完成し、たちまちイタリア式劇場のモデルとして名声を博します。

それでは、華麗なるオペラ座の世界をのぞいてみましょう。

館内に入って真っ先に目を奪われるのが大階段。

この階段があるのはなんと高さ30メートルにも及ぶ豪華な吹き抜けの空間。オペラの観客たちはこの壮大なる階段を通って客席やロビーへと向かいます。

この大階段自体が舞台。観客たちはこうしてオペラの世界へといざなわれるのです。

「カリアティードの門」は古代ギリシアの影響を受けていて、左の像が悲劇を、右が喜劇を表しています。

世界中から集めたさまざまな色大理石とギリシア神話をテーマに描かれた天井画、そしてシャンデリアや彫刻といった装飾の数々が生み出す空間はあまりにも華麗すぎて現実感を失うほど。

大階段をのぼって奧に進むと、2013の客席があるイタリア様式の観客席への入り口があります。

イタリア式劇場の伝統として、観客は単に舞台を見るだけでなく、自らも見られる前提でつくられているため、とりわけ女性をより美しく見せる赤が用いられた華やかな空間となっています。1964年にお披露目となった観客席の天井に描かれたシャガールによる天井画、「夢の花束」も必見。

舞台に向かって左横の5番ボックス席は「オペラ座の怪人」のファントムの指定席。

写真の左端のドアがファントムの席への入り口です。

こちら「グラシエの間」は観客が軽食を楽しんだ円形のサロン。

部屋の用途に合わせて、壁には食べ物にちなんだ絵画が描かれているのが興味深いところです。

フロントロビ―である「アヴァン・ホワイエ」の天井には、金地に色彩豊かなモザイクが施されています。

イタリアから職人を呼び寄せてつくったというモザイク画の精巧さと華やかさには目を見張るばかり。

ここのバルコニーから眺める大階段がある中央広間の眺めも壮観です。

さらに圧巻なのが「グラン・ホワイエ」と呼ばれる大広間。

観客が幕あいに集う場として造られたもので、バチカンのシスティーナ礼拝堂を意識し33枚もの絵画で装飾されています。

ギリシア神話における芸術の神、アポロンが奏でる竪琴のモチーフが音楽のシンボルとして随所に用いられていますので、ぜひ見つけてみてください。

当時は「金が多すぎる」と、オペラ座建設への費用が批判の対象にもなったのだとか。

しかし実は金箔はほとんど用いられておらず、レリーフの浮き出た部分にだけ金箔が施されており、それ以外はイミテーションなのです。これは、オペラ座建設のための費用を抑えるためという以上に、装飾をより美しく立体的に見せることを追求した結果だったといいます。

この広間では舞踏会も催され、外国の君主や政府高官などを迎える場にもなったのだとか。

夢のような空間にはただただ、ため息。

日本語のオーディオガイドを聞きながら回ると一層興味深く見学できます。館内には見どころも多いので、オーディオガイドを聞きながらじっくりと見て回るなら2時間程度を想定しておいたほうがいいでしょう。

パリを訪れたらぜひ、この華麗なるオペラ座の世界に浸ってみてください。

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