【イタリア旅】本当の塔の街、サン・ジミニャーノ
「イタリアで有名な塔」と聞くと、「ピサの斜塔」を思い浮かべてしまうかもしれない。
実は同じトスカーナ地方、シエナ県には「本当の塔の街」と呼ぶにふさわしい街があることをご存知だろうか。
それがサン・ジミニャーノ(San Gimignano)だ。
「本当の塔の街」と呼ぶにふさわしい理由としてまず挙げられるのが、塔の「量」だ。
街中が塔だらけ、むしろ塔しかないような印象で、まるで天を突き刺すかのようなたくさんの塔が存在する街、それがサン・ジミニャーノなのだ。
遠くから見ても、上から見ても、下から見ても、空き地にいても、裏道にいても、目に入るのはとにかくたくさんの塔。
気になるのは、なぜこんなにたくさんの塔が建てられたのかということ。
ひと口に言ってしまえば、中世に盛んだった都市内の権力争いが原因。
権力を誇示したいいくつかの家族が競って塔を建設し、最盛期には72もの塔が同時に存在していた。
現在ではそのうちの14しか残っていないのだが、最も古いロニョーザ塔(51m)や、最も高いグロッサ塔(54m)を今でも見ることができる。
中世の一時代の興りを切り取ったような街サン・ジミニャーノ。
歴史地区は1990年にその美しさを後代に語り継ぐためユネスコ世界遺産に登録された。
常に高みを目指し、それを示そうとする人間のあくなき欲望の形を、数世紀後に眺めてみればいわれを知らぬ郷愁を抱くものなのだろうか。
ピサの斜塔を訪れるためにトスカーナを訪れた際は、ぜひ「本当の塔の街」サン・ジミニャーノにも足を運んでみて欲しい。
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