ドラ5山本が初打席初安打、台頭が期待される若手選手たち

 巨人が宿敵・ヤクルトに対して敵地で3連敗した。1日は先発の高木ら投手陣がヤクルトの強力打線につかまり、今季ワーストの11失点。4月まで28試合を15勝10敗3分で終えて首位で5月を迎えたが、1日の敗戦後に2位に転落。セ界はまだまだダンゴ状態で、これからも接戦が続いていくだろう。

 敗戦の一方で、ドラフト5位ルーキー、慶応大出身の山本泰寛内野手が1軍昇格。1日の試合では昇格即、プロ初打席で初ヒットをマークするなど、明るい話題もあった。強肩の遊撃手として評価が高く、ファームでは開幕から1番打者を担って打率2割7分7厘。この日の9回に代打で登場するとヤクルトの新外国人投手・ペレスのスライダーをうまく拾い、レフトに運んだ。

 キャンプ、オープン戦開幕時に評価が高かった野手は早稲田大学からドラフト2位で入団した外野手の重信慎之介だった。しかし、重信はオープン戦の終盤で打撃が失速。開幕1軍メンバーには入ったが、3月30日に登録抹消となり、2軍で経験を積んでいる。

 イースタンで打率は2割4分台ではあるものの、最近の5試合では22打数7安打8打点。打率は3割1分8厘。4月26日のロッテ戦では2軍戦ながらプロ初本塁打。4月30日の楽天戦でもアーチを描き、5戦2発。本塁打を打つタイプのバッターではないが、バットに当てる確実性とパンチ力が増してきていることが分かる。

重信がファームで取り組んでいることは?

 重信がファーム行きを命じられてから取り組んでいることは、ヒットの率、バットに当てる確実性を上げること。俊足を生かせば、内野安打も増えてくる。

 シーズン開幕に近づくにつれ、成績が落ちてきたのは慣れないプロ生活の疲れもあるが、打席で無駄な力があったことも影響していた。ミートするまでに体が上下、左右に動いてしまい、自分のポイントで打てていなかった。それが今はしっかりと引き付けて、捉えられている。同時にファウルなど粘り強くもなり、フォームが固まりつつある。もともと備えている才能に経験か加われば、また進歩を遂げていくだろう。

 もう1人、未来の4番打者として期待のかかる岡本和真も好調をキープ。最近5試合では20打数10安打、打点13、1本塁打と勢いがついてきた。

 岡本も開幕前に本来の打撃が発揮できずに2軍落ち。イースタンでは3割近いアベレージに4本塁打と結果を残している。岡本のようなパンチ力のある打者にはやはり内角の攻めが多くなる。そのためインコースを意識するあまり、厳しいボールを打ちにいって詰まらされたり、外角の変化球でタイミングを外されたりしていた。

内角球に対応しつつある岡本、激しい競争に打ち勝てるか

 しかし、最近では内角のボールをスムーズに打てるようにスイングを修正し、内角球を少しずつ苦にしなくなっている。ずっと内角で攻められても、仕留めにきた外のボールをセンターから右方向へはじき返すヒットも見られる。投手も投げにくさを感じているようだ。走者のいる場面でも確実性を増し、5試合13打点。成長の階段を上がっている証でもある。

 昨晩、初ヒットを放った山本や、投手でいえば田口麗斗、今村信貴のような若い選手も起用しながら、高橋監督は今後を見据え、育てながらチームを成長させている。チームはまだ完成されていない中での戦いが続いており、2軍でアピールする重信、岡本にもチャンスが来る日は近いだろう。ただ、重信が奪い取る外野のポジションは長野、立岡、亀井らがおり、状態は悪くない。岡本の守る三塁のレギュラーの村田も状態はいい。守備固めの吉川もサードの守備でいい動きを見せている。

 競争は激しいが、2軍でいくら打っても1軍で活躍しなければ、評価は与えられない。スローガン「一新」を掲げるチームから、一人でも多くの若手が出てくることを期待したい。