【レポート】ビジネスマンが国からもらえるお金とは? - お金の専門家に聞いてみた
●スキルアップのために勉強するとき
昇給や昇進を目指してスキルアップをする以外にも、近い将来・遠い将来のキャリアアップのために転職したり、起業したりすることも珍しくありません。異動や配置転換などが増える年度がわりのこの季節に、将来の自分像を描きなおすビジネスマンやキャリアウーマンは多そうです。
でも自己投資には少なからずお金も必要で、お金の問題を放っておいてはいけません。スキルアップやキャリアアップを目指すビジネスマンのための国の支援制度を紹介します。
○スキルアップのための勉強に「教育訓練給付」
スキルアップのための勉強なら「教育訓練給付」を利用しましょう。これは労働者や離職者が、厚生労働大臣指定の教育訓練講座を受講し修了した場合に、支払った受講料の一部が支給される制度です。TOEIC等の語学はもちろん、PCスキル、簿記や会計士等の専門スキルなど講座はさまざま。
雇用保険の給付制度で、現在および離職時に雇用保険の一般被保険者であったなどの条件がありますが、教育機関に自分が支払った金額の2割(10万円限度)が支給されます。当制度には上記「一般教育訓練給付」のほかに「専門実践教育訓練給付」もあり、雇用保険の被保険者期間がより長い場合はより専門的な教育講座の受講も可能。支給金額もより高く、自己負担額の4割(1年当たり32万円、3年限度)が支給されます。
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●退職したとき、60歳以上で働き続けるとき
○退職したときは「職業訓練受講給付金」も
転職や起業を目指して現在の会社を退職したものの、予定が狂って失業状態になってしまうこともなくはありません。自己都合の退職の場合、雇用保険の基本手当(失業手当)を申請しても3カ月間の待機期間があります。退職して落ち着いてから新しい職を探す、起業プランを練るという場合は、早めにハローワークに求職申請をしておきましょう。
自己都合退職では、失業手当の支給期間は雇用期間への加入期間によって90日〜150日分。思い通りに転職できず、失業給付金も受給しきった場合、「求職者支援制度」の利用可否を確認してみて。これは、雇用保険の受給終了のみならず、雇用保険の非適用、加入期間不足などで雇用保険からの失業手当が受給できない場合の支援制度です。
ハローワークによる支援指示に基づき、民間の教育訓練機関や公共職業訓練など無料で受講できるのに加え、「職業訓練受講給付金」、ハローワークの就職支援が受けられます。このうち職業訓練受講給付金は金銭としての支給。
本人および世帯の所得制限等を満たせば「職業訓練受講手当」として月額10万円、加えて「通所手当」として通所経路に応じた所定の金額(上限額あり)が支給されます。当然ながら求職者であること、不正受給でないことが前提です。
○60歳以上は「高年齢雇用継続給付」
リタイア年齢に達しても働き続ける、あるいは新たなキャリアを形成するという人もいるでしょう。特に公的年金が開始される65歳まで、収入を安定させるのも大切なことです。60歳を超えるビジネスマンなら「高年齢雇用継続給付」の適用を確認してください。
「高年齢雇用継続給付」は2種類。1つは60歳以降も継続して働き続ける人の「高年齢雇用継続基本給付金」、2つ目は、いったん退職し雇用保険の基本手当てを受給している人が再就職した場合の「高年齢再就職給付金」。いずれも60歳以降の賃金が60歳時点に比べて75%未満に低下した場合に、低下部分を補うための給付です。
現役ビジネスマンからシニアまで、お金の形で国がキャリアを応援する制度を見ました。こうした制度をうまく活用して、自分の目標に向かって頑張ってください。
筆者プロフィール:武田明日香(たけだ あすか)
エフピーウーマン所属、ファイナンシャルプランナー。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル!」「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「webR25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人を送るための知識を伝えている。人生の"やりたい"が"できる"に変わるお金の教養スクール開講中!
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(FPwoman)