中国ではかつての戦争の影響があり、「日本の古い伝統」に対して批判的な見方が目立つ場合がある。例えば武士道だ。実際には「主君への忠誠」、「親孝行」、「弱者を助ける」、「名誉を重んじる」との儒教の影響がみられる倫理観が強いにもかかわらず、「人殺しの原理」程度に認識する人が多い。

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 中国ではかつての戦争の影響があり、「日本の古い伝統」に対して批判的な見方が目立つ場合がある。例えば武士道だ。実際には「主君への忠誠」、「親孝行」、「弱者を助ける」、「名誉を重んじる」との儒教の影響がみられる倫理観が強いにもかかわらず、「人殺しの原理」程度に認識する人が多い。

 ところが、「零式艦上戦闘機(零戦、ゼロ戦)」の語で中国版ツイッター(微博、ウェイボー)で検索してみたところ、批判的な投稿はあまり見当たらない。逆に、「最も美しい戦闘機」「米軍の胆を冷やした」などの評価が目立つ。

 まずは、模型ファンがいる。「零式艦上戦闘機二一型を20機買ったよ」と収集に励んでいるとの自己紹介がある。さらに「初めて金属製の模型を作っていたけど、うまくいかないなあ。(中略)これじゃ何型か分からないよ。ピトー管は左翼につけるのだったかなあ?」と、マニアぶりを披露した人もいる。

 零式艦上戦闘機を称讃する声としては「長距離飛行、強い戦闘力。米国と決死の戦い。1940-43年の損害率は零戦1で米軍機が6。米軍は胆を冷やした」、「この機(零戦)に乗る者は英雄中の英雄だった」などがある。

 零戦初の空戦について「1940年9月12日に壁山空戦が発生した。中国空軍の(ソ連製の)I-16とI-15が日本軍新鋭の零式艦上機に惨敗した。撃墜されたのは13機、損害を受けたのは11機だった」と紹介した書き込みもある(日本側記録では27機撃墜など。零戦は13機全機が帰還)。

 零戦開発の責任者だった堀越二郎氏を紹介したり、生産した三菱重工業を「本当にすごい」と称賛する声もある。また、宮崎駿監督の「風立ちぬ」にも触れ、「(中国)国内では上映できない。われわれにとって一大損失としか言えない」と評した人もいる。

 中国で「日本の兵器」を称讃した場合、批判のコメントが殺到しそうだが見当たらない。一方で賛同のコメントも少なく、「ゼロ戦ファン」が、自分の思いをそれぞれ書き込んでいる状態だ。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C) Christopher Fell /123RF.COM、米国で保存され、ワシントン州で飛行する零戦。2013年6月撮影)