25日、東京都新宿区の戸山高校で開かれたいじめ問題について考える公開座談会に出席する石原慎太郎都知事。(撮影:佐藤学)

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東京都は25日、いじめ問題について考える公開座談会「いじめの根っこを探る、東京からいじめの根っこを絶つ」を同新宿区の都立戸山高校で開いた。石原慎太郎都知事をはじめ有識者、小中高校生、保護者、教職員の代表ら約40人が座談会に参加し、活発な意見交換を行った。

 首都大学東京の宮台真司准教授は「昔は体罰があっても誰も理不尽に思わなかったり、教員は偉いと大人が共通の前提を持っていたが、これを再構築するのは難しい」と話した。代替案として、効力があると実証されている2つの解決方法を紹介。暴力を伴ういじめの場合、警察を導入し、社会で許されないことは学校でも許されないと生徒に示すことが解決につながるという。また、コミュニケーションを通じたいじめの場合は、別のクラスに移ることができる仕組みを作るのがよいと述べた。

 また、「子供の早起きをすすめる会」の発起人を務める東京北社会保険病院の神山(こうやま)潤副院長は、いじめ問題の一因として、子どもの生活習慣の乱れを挙げた。早起きすることは生物学的に大切なことで、朝日を浴びないとやる気をなくしたり、対人関係に支障をきたすという。「親が残業して、子どもの生活習慣に関与しないことが問題。生身の人間とのかかわりがないと、対人関係のスキルを学ぶこともできない」と、子どもたちと向かい合う時間を持つことの大切さを呼びかけた。

 さらに、石原都知事は「いじめ問題は、親の過保護が原因。手を伸ばせば何でも手に入るようになり、結果として脳の幹が細い(ひ弱い)人間にした」と発言。また、幼稚園から高校まで全都立の校長先生2000人を集める集会について話し、「教育の最高責任者は、学校長でなく親であることをしっかり親に伝えてほしい」と毎回お願いしていることを紹介した。

 座談会に参加した男子高校生は「大人が変わらないといけないと思う。電車に乗ると、ゲームをしているサラリーマン、化粧をしている女性を見かける。スポーツ選手などで尊敬できる人はいるが、身近な大人が尊敬できるようになってほしい」と話した。また女子高校生は「親が過保護であるという意見に賛成。親は自分の子どもが100パーセントいい子だと思っているが、子どもは何をしているかちゃんと見て、話し合う必要があると思う」と厳しい感想を述べていた。【了】