ファッションやライフスタイルの専門サイト「Glam.com」を運営するグラム・メディアは14日、「シリーズCファイナンス」と呼ばれる資金調達を通じ、新たに総額1850万ドル(約22億円)の追加出資を受け、また、CNETのヤール・モーン会長が今回の出資に加わり、同社の戦略アドバイザーに就任すると発表した。

   また、グラム・メディアは、ハースト・マガジンズと提携し、ハースト傘下の雑誌「Marie Claire (マリ・クレール)」の記事を「Glam.com」でオンライン配信することで合意した。

  今回の追加出資には、投資会社のダフ・アッカーマン・アンド・グッドリッチ・ベンチャーズ(DAG)のほか、同社の既存株主であるアクセル・パートナーズドレーパー・フィッシャー・ジャーベットソンウォールデンVC インフォメーション・キャピタルの各ベンチャー・キャピタルが応じた。調達した資金は、ウェブサイト上のネットワーク増強に加え、営業や編集チームの増員に振り向けるとしている。

  グラム・メディアとハーストとの提携については、ファッション雑誌業界の今後に一石を投じることになりそうだ。これまでの大手ファッション誌は、編集内容は出版向けに集中させ、雑誌のウェブサイトは、広告や雑誌宣伝の寄せ集めにすぎなかった。雑誌の実際の内容をインターネット上で配信することは、実現するまで時間を要したものの、ようやく小さな一歩を踏み出したようだ。

  コムスコア・メディア・メトリックスが10月に発表したリポートによると、グラム・メディアは、月700万人超のユニークユーザー数を獲得し、女性向けサイトでトップ10に食い込むサイトだ。なぜ、これほどまで時間を要したのだろうか?

  グラム・メディアの創業者、サミル・アロラ会長は、「事業面で考えれば、出版雑誌は、(依然として)すばらしい領域だ。オフライン媒体の数は、減少傾向にあるが、出版雑誌は減少していない」と指摘。その根拠として、「出版雑誌は、過去5年間にわたって広告の約17%を占め、安定している」ことを例に挙げた。

  一方で、アロラ会長は、「2004年を例に取ると、女性を対象にしたイーコマース(電子商取引)は50%以下だった。実生活では、違いますけどね。むしろ80%に近いのではないでしょうか」と述べた上で、「インターネット接続し、これら雑誌のウェブサイトを訪れてみると、大抵は、出版された雑誌を講読したい衝動に駆られてしまうのではないか。いつ媒体に変化が起きても、ある一つの媒体を支配している者が、新たな媒体でも支配するのはまれだ」と雑誌業界参入の魅力を語った。

  このため、女性を対象にした広告は、簡単なトレーニングや水着などにとどめておくべきではないとの考えで事業に取り組むことが正しい道だとグラム・メディアは考えており、これが、投資先として魅力的なものにさせているのだろう。【了】

■オリジナル記事: Glam Media Gets $18.5 Million And A CNET Chairman
■ブログ:テッククランチ(TechCrunch)(2006年12月14日付)より
■筆者 マイケル・アリントン(Michael Arrington)氏:
スタンフォード大学法学部を1995年に卒業。弁護士としてベンチャー企業のIPO(新規株式公開)や合併・投資ビジネスなどに携わる。法律事務所を退職後は、複数のベンチャー企業の立ち上げに関わるほか、IT企業のコンサルタントを務める。現在は、ビジネス開発やマーケティング戦略のコンサルタントを行う一方で、「テッククランチ」や「クランチノーツ」といったIT関連のブログを運営している。

  テッククランチはインターネット関連の企業や新製品などを紹介し、業界のさまざまな動向も追跡するブログ。2005年6月11日に始まり、米ネットワークCBSテレビや米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」など大手メディアなどでも、頻繁に取り上げられている。

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