「AZAMIー顔のないポートレイトー」展
表参道THEBASEMENT
http://www.thebasementomotesando.com
10月26日(日)まで。
11時〜19時30分
展示された写真が掲載されたカラーパンフレットがもらえます。
未掲載、展示のみの、海岸で白い下着を着てる女性達の写真も、なんだかいい感じなので、ぜひ見てください!

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わあ! ギャラリーの中に入ると、そこには、バスト、乳房、胸・・・女性の上半身のNUDEがずらりと並んでいます。
これは、下着メーカー・ワコールが企画した、気鋭の女性写真家・田口まきによる女性のバストの写真展「AZAMIー顔のないポートレイトー」。表参道THEBASEMENTにて10月23日から開催中です。

いわゆる巨乳から、最近流行りの、ちっぱいまで、モデルさんのバストは多種多様ですが(ここに意外な事実が。それは後ほど)、すべてが美乳!
バストのも持ち主たちの顔は、おへそから下、唇から上は写っておりませんが、唇、鎖骨、指、おへそなどの動きが、中心の胸の魅力をいっそう引き立てます。

バスト写真というと伴田良輔の写真集が有名ですが、田口まきにも注目したいです。彼女の撮ったカラダは、パステルカラーのペーパーを背景にして、どれもみな、柔らかそうで、艶めいています。
それは、レセプションパーティーに出されていた、ピンクの小さなマカロンのようにそっと触れたい繊細な部分と、同時に「AZAMI」というタイトルのように野性的な部分が同居した、多彩さをもっています。

田口まきは、パンフレットでこう書いています。
「NUDEになる、その瞬間全てを手放して、心が軽く澄んで透明になる」
その通りで、いつも、ブラや手や布や何やかやで、覆い隠しがちなバスト。そのせいで、女性を猫背にさせてしまうこともあるバストが、ここでは、堂々と、のびのびと主役の顔をしています。
これは本当に、顔がなくてもポートレイトです。撮り方によって、顔がなくてもその人の意志や個性を写し出すことができるものなのですね。こっちのほうがきっと能力が要る気がしますので、そういう仕事をしている写真家さんって素敵だな。
単なる女性のバストのサンプルみたいにはなっていなくて、体温とか呼吸が伝わってきて、じわじわくるんです。

この展示、見るだけでなく、触ることもできます。
中央には、シリコンでできた、バストのソフトダミーが3体展示されていて、バストの感触を体感できるのです。
おそるおそる触ってみると・・・柔らかい!!
胸の上部が、ふわんふわんです。
実際のバストを見たり触ったりしながら作っているそうで、リアルです。
表面シリコンで中身をくりぬき、中に発泡スチロールを砕いたもの(ビーズクッションみたいなもの)を入れて柔らかさを再現しているとか。
隣のもう一体は、上部に弾力がありました。
こんなにも、人によって、バストの感触が違うものなのだなあと感動。

で、その後に目がいくのは、同じサイズでも、人それぞれ全然形が違うという証拠写真の数々。
Cー70(アンダーバスト70cm、トップとアンダーの差が15cmくらいのCカップ)の人たちの写真が何枚も並んでいますが、これ、本当に、みんなCー70なの? と驚くほど違うのです。
Cー70って、巨乳でもなくちっぱいでもない標準サイズだと思うのですが、大きく見える人、それほどでもないかな? と思う人などいろいろ。

そこで衝撃の事実に気づきます。実は、最初に見た写真の数々も、触った3つのバストダミーも、みんな、同じCー70だったのです! 
いやいや、参りました〜。

面長バストは、下乳にボリュームできるけど、縦横にまあるいお椀型バストは、
そんなに下乳くっきりにならないんだなと知りました。
男子諸君、好みのバストがCカップとかEカップとか、そんな一言では片付けられませんぜ。
これは、絵を描く人にも、大変参考になると思います。

最近、カップ付きインナーも増えて、締め付けるブラがめんどくさくなっている人も多いんじゃないかと思うのですが、自分のカラダをもっとちゃんと知って、大切にしたい気になりました。
そんな時に、服の上からですが、自分のバストサイズを測ってもらえる、コーナーもあります。小さな夢のサーカス小屋みたいな計測コーナーが奥にひっそりあります。

この展示はすべて、ワコールが1964年に人間科学研究所を設立し、50年もの間、女性のカラダを研究してきた成果なんですね。

ところで、田口まきは、前述の「NUDEになる、その瞬間全てを手放して、心が軽く澄んで透明になる」と書いた後にこう続けています。
「同時に、非日常的なリスクを感じる行為だ」。
そうなんです。そもそも、なんで、男の胸は出し放題で、女の胸は、出したらおおごとになるのでしょうか。出すことで大いに労われたり、乳首出さなきゃ潔くないと批判されたり、時にはそこまでしたかと哀れまれたり、とにかく好奇の目で見られるので、何かと神経を使う部位です。

まあ、ここで、女性問題を語るのも野暮な気もしますし、それだけありがたいもので、この展示は、たまに特別公開される国宝みたいなものと思って、楽しみたいものです。女のバスト、秋の特別公開です。10月26日までですので、急いで!

ちなみに、バストの形はもちろんですが、唇も想像力をかき立てます。
唇の開け方と艶感、歯の見え隠れが、こんなにも情報量を与えてくれるとは。
胸+唇 これ、全身NUDE級の訴求力あります。ぜひ、感じてみて。
(木俣冬)