中国で生まれつき小脳がない24歳の女性が見つかる
By Penn State
体や臓器の一部分が欠損した状態で産まれてくる先天性欠損症には、生まれつき手足の一部が欠けてしまっている先天性四肢欠損症や、腰椎の1つが欠けている先天性腰椎欠損症など、多くの症例があります。人間の体の中でも最も重要な器官の1つである脳の先天性欠損症も多数あり、その多くを部分欠損が占めていますが、中国で小脳が完全に欠損している24歳の女性が見つかりました。
Woman of 24 found to have no cerebellum in her brain - health - 10 September 2014 - New Scientist
24歳の女性が衝撃の事実を知ることになったのは、中国・済南市にある済南病院で診察を受けた時のこと。医師が目まいや吐き気といった症状を訴える女性を診察すると、女性が7歳になるまで歩行や発話能力に支障をきたしていたことがわかり、女性は診察時でさえもうまくまっすぐ歩けないといった状態でした。
医師が女性の体内を調べるためにCTスキャンを実施したところ、驚くべき事に、女性の脳内に小脳が完全に欠けていることが判明。その後の調べで、小脳があるべき場所は脳脊髄液で満たされていて、脳を病原菌から守る防御壁のような役割をしていることもわかりました。
大脳の両半球の下に位置する小脳は平衡・筋緊張・随意筋運動の調節などを行い、小脳に問題が起こると運動障害を引き起こすことが知られています。
これまでも小脳がない状態で産まれてきた人は報告されていたものの、寿命が極端に短か過ぎるため、小脳がないことで発生する症状の実例は少なかったとのこと。しかしながら、今回発見された女性は24歳であるため、医師たちも衝撃を受けています。
女性を診察した医師は「小脳が欠落していると、生命に支障をきたす重大な問題を引き起こすのですが、彼女の症状はかなり軽いほうで、予想をはるかに超えていました」と発言。ベルギーのブリュッセル大学で小脳の病気を研究しているマリオ・マント氏は「今回の発見で驚くべきことは、小脳の本来の役割を脳の別の部分が担っている可能性があるということです」と話しており、今後はさらなる調査が行われ、女性の脳がどうのように機能しているのか明らかにしていくとのことです。