非難轟々で考え直す?

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ジャーナリストの池上彰さんが「信頼関係が崩れた」と中止を申し出た朝日新聞の連載が、2014年9月4日付朝刊で再開されることが分かった。朝日側がJ-CASTニュースの取材に明らかにした。池上さんの原稿掲載拒否を巡っては社内外から批判が相次いでおり、それを受けて考え直した可能性がありそうだ。

慰安婦報道の検証記事を出してから、朝日新聞は、報道は捏造だったとする週刊誌などへ抗議を繰り返し、誤報したことへの謝罪も拒んだ。

慰安婦報道への謝罪を求める原稿をボツにされ

さらに朝日を攻撃する週刊誌に対しては広告掲載拒否に及んだが、今度は、自由な論評への口封じともみられかねない出来事が起きた。

週刊文春サイトの2014年9月2日付記事によると、池上彰さんは、朝日新聞に月1回書いている連載「新聞ななめ読み」で、朝日の検証が不十分だとして、「朝日は謝罪すべきだ」といった内容の原稿を出したところ、ボツになった。8月29日掲載予定だったが、朝日の幹部が「これでは掲載できない」と池上さんに通告してきたというのだ。

池上さんは、すかさず「では連載を打ち切ってください」と申し出た。こうした経緯は、朝日の関係者が自社の「今回の反応は異常」だとして文春に明かしたという。

文春の取材に対し、池上さんは連載打ち切りを申し出たことを認め、「これまで何を書いてもいいと言われていた信頼関係が崩れた」とその理由を説明したとしている。

池上さんの思い切った連載中止宣言について、ネット上では、「朝日の圧力に屈しない池上△」といった賞賛の声が上がった。一方で、朝日新聞については、「これは酷い言論弾圧!」「もう本当に信用されなくなる」といった非難が巻き起こっている。朝日の現役記者からも、池上さんの原稿掲載を拒否したことにツイッターで怒りの声が出ているほどだ。

ボツ原稿をそのまま載せるかなどは分からず

会社の内部からも表立って批判が出る事態になり、メディアジャーナリストの津田大介さんは、「ここのところの朝日新聞の一連の不祥事でもこれは極まった感があるな。もうホントにダメなのかも」とツイッターでつぶやいた。つまり、朝日の終わりが始まったのではないかというのだ。

池上彰さんが連載打ち切りを申し出たことについて、報道によると、朝日新聞社の広報部では、「連載中止を正式に決めたわけではなく、池上彰氏とは今後も誠意を持って話し合う方針です」と説明していた。

そこで、J-CASTニュースが今後の見通しなどについて取材すると、広報部では、次のようにコメントした。

「弊紙の連載『池上彰の新聞ななめ読み』の次回記事について、弊社は、筆者の池上彰さんと話し合いを続けておりましたが、4日付朝刊で掲載することになりましたので、お知らせいたします」

ただ、コメントでは、ボツになった原稿をそのまま載せることにしたのかなど、具体的な掲載内容は分からなかった。

なお、社内から表立って批判が出ていたことについては、「弊社は、『つぶやく記者』に登録した記者がツイッターで個人の見解を述べることを認めています」と答えている。