マインツの岡崎慎司が今シーズン14得点目を決めた。日本代表の前線の選手の中で、唯一といっていい好調な選手だね。かつては高原直泰も香川真司もブンデスリーガで2桁得点を挙げている。

日本人選手にとっての相性の良さというのもあるだろう。ドイツ人は大柄でフィジカルが強いけど、俊敏性に欠ける、ヨコの動きに弱い選手が多い。そうした選手たち相手に、日本人選手のアジリティーがうまくはまるということだね。それにしても、一番結果を残している岡崎が日本のメディアにほとんど騒がれないのはなんでだろうね。

一方で、日本代表の1トップのファーストチョイスになっている柿谷曜一朗は、リーグ戦でここまでゴールを決められていない。W杯メンバーのサプライズ枠は誰だ、誰だと盛り上がっているけど、柿谷がサプライズで落選することだってあるよね。W杯まで2カ月を切ったタイミングで、今の状態はマズイだろう。

ところが、やはりメディアやファンからはそうした議論が聞こえてこない。柿谷はもう絶対に選ばられる選手のように扱われている。

岡崎の結果もスルー。柿谷の結果もスルー。形こそ違えど、本質的には同じことだね。喧々諤々の議論の前に、とにかく売上の見込める、視聴率の取れる方向にばかりいってしまうメディアの悪癖はブラジルW杯を前にしても続く、いや、大きな大会があるからこそ余計に煽り体質になってしまう。

煽るのがすべて悪いわけではないし、盲目的な盛り上がりがムーブメントを生むこともある。ただ、日本のサッカーは世界の中において挑戦者の立場だ。冷静な分析をして、世界とどう戦うか。どうやって勝ち点3をかすめ取るかを考えなければならないよね。相手より守る、相手より走るのは当然のこと、采配も選手起用も、冷静で緻密な判断が必要だ。

ザッケローニ監督は再び欧州視察に出かけている。何を見に行っているのだろうか。Jリーグから新たなピースを探す必要はないのか。前線ばかりに話題が集中するけど、僕は現代表の一番の心配はバックラインだと思っている。可能性の目が転がってるとすれば、Jリーグだと思うのだけどね。