いよいよJ1の最終節だ。首位の横浜FMと2位広島の勝ち点差はわずかに2。それぞれの対戦相手も考えると、まさに何が起こるか分からない90分になる。

逆転優勝に向けて意気上がる広島だけど、今週、広島市長が2位になることを望んでいると発言した、というニュースがあった。3回優勝したらスタジアムを立てると口約束していた市長が、今回で2度目の優勝をされてしまうと、「土俵際に追い込まれるから」、2位でいいと言ったと。この発言に対し、広島のクラブスタッフも怒りをあらわにし、サポーターから非難の声も上がっている。
 
怒る気持ちも理解できるけど、逆転優勝に向けていいハッパになっているんじゃないかな。3回優勝して引きずり降ろしてやろうと思えばいい。あるいはこの手の話は気にしないことだね。かつて「2位じゃダメなんですか?」と言った政治家がいたけど、民主党は本当に2位になっちゃったよね。この広島市長にも、次の選挙で「2位じゃダメなんですか?」と言い返せしてみるといい。忘年会のいいツマミができたぐらいの気持ちで、ジョークで返す余裕もほしいね。
 
この発言の根底には、広島においては「サンフレッチェよりカープのほうが人気」という事実も透けて見える。政治家というのは何より票を好む。サンフレッチェのサポーターを敵に回しても、自身の選挙に全く影響がないと考えているから、こうした発言も出てくる。
 
もう一つ、全国で次々に構想が語られているスタジアム建設について、僕はなんでもかんでも賛成する気はない。2002年のW杯を契機に建設したスタジアムで、使い切れずに赤字を垂れ流しているスタジアムもある。大きな結婚式場を借りても、50人しか友達がいなければ意味がないよ。

リーグ戦のホームゲームは年間で何試合あるのか。野球と比べれば、その維持がいかに大変かが分かるだろう。なにしろお金がかかるね。今回の広島のスタジアムにしても、市民の税金を使って建てるわけだ。サンフレッチェに興味がないという市民もいるだろう。そういう人たちのお金も使って建てることを考えれば、慎重論が出るのも理解できなくはないね。
 
そういう意味で、ガンバの取り組みは素晴らしい。自分たちで半分出すから、という姿勢は、チームとスタジアムへの愛着がより湧く。箱を考える前に、まず中身を考えるべきだね。